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「肺炎球菌ワクチン」の知っておきたい基礎知識。どの肺炎もワクチンを打てば防げるの?

皆さんは、CMなどで「肺炎球菌ワクチン」という言葉を聞いたことはありませんか?
肺炎球菌ワクチンは、主に65歳以上の方を対象とし、定期接種を1回受けられるようになりました。
しかし、対象となっている方のなかには、肺炎球菌ワクチンについて詳しく知らないが故に、接種をためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ぜひ知っておきたい「肺炎球菌ワクチン」の基礎知識についてご紹介します!

肺炎には「細菌性肺炎」と「非定型肺炎」の2種類がある

肺炎球菌について理解するためには、まず「肺炎」という病気そのものを理解する必要があります。
肺炎は、一言でいうと「肺に炎症が起こる病気の総称」です。そのため、肺炎には大きくわけて以下の2種類があります。

◯細菌性肺炎

細菌性肺炎は、日常生活に潜む一般的な細菌によって引き起こされる肺炎のことをいいます。
細菌性肺炎を引き起こす菌として、インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌などがあります。
細菌性肺炎を発症すると、発熱や頭痛、全身のだるさや食欲不振などの症状が出ます。
脈拍も高くなり、呼吸が速くなります。

◯非定型肺炎

非定型肺炎は、一般的とされる細菌以外の菌によって引き起こされる肺炎です。
非定型肺炎を引き起こす菌として、クラミジア菌やマイコプラズマ、レジオネラなどが挙げられます。
非定型肺炎の特徴として、咳や痰、胸の痛みや呼吸困難など、呼吸に関する症状が多く出る一方で、発熱は軽いという点が挙げられます。
胸の音を聞くと、呼吸に合わせて「パチパチ」という音や「ブツブツ」という音が聞こえます。

今回ご紹介している「肺炎球菌」は、日本人の約3~5%の高齢者の鼻や喉の奥に常在しているとされており、この2つの分類では「細菌性肺炎」に分類されます。

肺炎球菌ワクチンによって「肺炎球菌が原因で起こる肺炎の約6割を予防できる」

では、肺炎球菌ワクチンを接種することでどういった効果が期待できるのでしょうか。
その答えは、「肺炎球菌が原因で発症する肺炎のうち、約6割を予防できる」です。
「あれ?肺炎球菌が原因の肺炎はすべて予防できるのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は肺炎球菌にはインフルエンザウイルスのように、たくさんの「型」があります。
その数はなんと90種類以上!
現在定期接種が勧められているワクチンは、平成25年に発症した肺炎球菌が原因の肺炎のうち全体の約6割を占めていた23種類の型に対して効果があるとされているワクチンです。
つまり、肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌が原因で起こる肺炎のうち、約6割を予防できる、といえます。
成人が発症する肺炎のうち、全体の1/4~1/3は肺炎球菌が原因とされているため、肺炎球菌ワクチンを打つことによって、全体の約15%~20%にあたる肺炎を予防することができるのです。

肺炎球菌ワクチンが定期接種になった理由は、「肺炎が死亡原因第3位」だから

肺炎を発症するリスクを減らしてくれる、肺炎球菌ワクチン。
しかし皆さんのなかには、
「せっかく打っても完全に肺炎発症を予防できないのなら、わざわざ打つ必要はないのでは?」
と思った方もいらっしゃることでしょう。
ではなぜ、政府は肺炎球菌ワクチンを定期接種することを決めたのでしょうか?

平成28年度における日本人の死因順位において、肺炎は悪性新生物(ガン)、心疾患に続き、第3位に入っています。1年間で死亡した方のうち、約9%の方の死亡原因が肺炎という結果でした。
成人が発症する肺炎のうち、1/4~1/3は肺炎球菌が原因とされています。
よって肺炎球菌ワクチンを定期接種すれば、肺炎の発症を減らし、死亡率を下げることが期待できます。
だからこそ、肺炎球菌ワクチンの接種が定期接種となり、公費で受けられるようになったのです。

65歳以上が定期接種となった理由は、「高齢者は発症しやすく、悪循環になりやすいから」


全国の呼吸器を専門とする医師による「日本呼吸器学会」では、「成人肺炎診療ガイドライン2017」において、65歳以上の高齢者に対し、肺炎球菌ワクチンの接種を強く推奨しています。
政府においても、公費での接種は65歳以上の高齢者が対象です。
なぜ、すべての年代を対象とせず、65歳以上の高齢者だけが対象となっているのでしょうか。
それには以下の二つの理由が挙げられます。

◯免疫力が低下し、細菌性肺炎を発症しやすい

人間には本来、病気の原因となる細菌などから自分を守る「免疫力」が備わっています。
免疫機能は年を重ねることで徐々に弱まることが分かっており、65歳以上になると見た目は元気そうに見えても、若い方にくらべると免疫力はかなり落ちてしまっています。
肺炎球菌は日常生活に潜む一般的な細菌の一つであり、免疫機能が十分働いていればそれだけで発症を防ぐことができます。
しかし免疫機能が落ちている65歳以上の高齢者の場合は、細菌に感染しやすいため、細菌性肺炎を発症するリスクが上がってしまいます。
そのため、65歳以上の高齢者への接種が奨励されているのです。

◯肺炎を発症することで、悪循環になりやすい

肺炎は一度発症すると、発熱や頭痛、全身のだるさなど、さまざまな症状を引き起こします。
それまで身の回りのことは問題なくできていた方であっても、肺炎を発症すると体力が落ち、日常生活の動作を行いにくくなってしまいます。
特に高齢者の場合、体力が落ちて日常生活に支障をきたし、一日の活動量が減ってしまうと、全身の臓器や筋肉も衰え始めてしまいます。
そして最終的に、日常生活すべてにおいて介助が必要な状況となってしまうのです。
介助が必要な状態にまで活動量が減ってしまうと、ただでさえ低い免疫力がさらに下がってしまうため、肺炎を再度発症するリスクもどんどん高くなります。
このように、高齢者が肺炎を発症すると、全身状態を悪化させ、悪循環を引き起こしてしまうため、ほかの年代にくらべてより発症予防が重要となるのです。

まとめ

いかがでしたか?
肺炎球菌ワクチンはすべての肺炎を予防できるわけではありません。
しかし、肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎を発症するリスクを下げることができ、結果として健康寿命を延ばす効果が期待できます。
肺炎球菌ワクチンの接種は、各自治体が実施していますので、接種期間に該当する方は、接種を心からおすすめします!

参考:
メディックメディア社 病気がみえる Vol.4 呼吸器 第2版

MSD株式会社 肺炎予防.jp
ファイザー おとなの肺炎球菌感染症.jp

厚生労働省「肺炎球菌感染症(高齢者)」
厚生労働省 29肺炎球菌リーフレット
厚生労働省 平成28年人口動態統計
日本呼吸器学会. 成人肺炎診療ガイドライン2017,p144

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