在宅介護やリハビリなど健康をとり戻す生活に役立つ情報を。

  • Facebook

健康応援 OGスマイル

この記事に関するタグ

筋トレは各個人に適した負荷設定が重要!効果的な負荷量の決め方を解説します

みなさんは普段筋トレを行うとき、どのように負荷、回数を決めていますか?
間違った負荷量で行ってしまうと効果がないばかりでなく、ケガにもつながってしまい、効果を出すためには負荷量を適切にする必要があります。
今回は筋力トレーニングを行うときの負荷の設定方法について解説していきます。

筋力トレーニングを行うときの負荷の設定方法

超回復、RM、過負荷の原則について知ろう

筋トレを行っていくには負荷量、回数、頻度を各個人に合わせて決めることが重要になります。
ここではこれらの条件を決める上で役に立つ超回復、RM(Repetition Maximum)の考え方を解説していきます。

●筋トレは毎日やっては逆効果!超回復の理論を解説

筋トレは毎日やっては逆効果!超回復の理論を解説

筋肉はトレーニングによる負荷で破壊されてしまいます。
そしてこの壊れた筋肉が回復するときに、壊れる前よりも太く、強くなって回復します。
この仕組みが超回復と呼ばれており、この特徴を生かして筋トレのときに筋線維を壊して筋肉を強くしていきます。
しかし、筋肉が壊れた状態のままトレーニングを行ってしまうと、さらに筋肉は破壊されてしまい、筋力は弱くなってしまいます。
そのため超回復理論を利用するには毎日運動するのではなく、休息をとることが必要になります。
筋肉が修復されるには2~3日(48~72時間)程度の期間が必要なため、週2~3回程度の頻度で行うことが効果的になります。

●自分自身のRMを知ることが運動強度の設定に重要

自分自身のRMを知ることが運動強度の設定に重要

あまり聞きなれない言葉ですが、RMとは最大反復回数という意味になります。
どのように使うかというと、全力でどうにか1回だけ運動できる量は1RM、なんとか10回反復してできる量は10RMという表現になります。
各個人によって違うため、自分自身のRMを知ることが適切な負荷量を決める判断材料になります。
トレーニングを行う上で注意したいことは、10RMとは全力で10回するのがやっとの負荷ということで10回だけ行うとは違うということです。

●過負荷の原則に従って、定期的に負荷量を変更しよう!

トレーニングを行うときは過負荷の原則と呼ばれるものが前提となっています。
過負荷の原則とは、トレーニング強度がある一定以上でなければ効果は期待できないという原則です。
筋力をアップするには最大筋力(1RM)の60%以上の強度が効果的とされており、10RMの負荷で70~80%程度とされています。
最初は10RMであった負荷量が、筋トレを続けていくうちに15RM、20RMへと変化したとき、このまま変更しなければ過負荷の原則には当てはまりません。
効果的なトレーニングを継続するには、定期的に負荷量を見直し、変更することが重要です。

目的は筋肥大?筋持久力?目的に合わせてトレーニングしよう!

目的は筋肥大?筋持久力?目的に合わせてトレーニングしよう!

●筋肥大と筋持久力では設定する負荷量が異なる!

筋肉が太く大きくなっていくことを筋肥大(きんひだい)といいます。
ボディビルダーやラグビー選手、またはもっと腕を太くしたい、大きな体になりたいと考えている方は筋肥大を起こす必要があります。
筋肥大を目的とする場合の負荷は6~12RM程度の比較的高負荷の運動を行う必要があります。
筋持久力はその名の通り筋の持久力になります。
主に姿勢を維持する筋肉やマラソンなどの有酸素運動時の持久力を高める場合には筋持久力を高める方法で行います。
筋持久力が目的の場合は20~30RM程度の比較的軽い負荷の運動で行うと効果的になります。
ダイエットが目的の場合も、軽い負荷で行った方が筋肥大を起こさずにトレーニングすることが可能になり効果的です。

●特異性の原則に当てはめた運動はパフォーマンス向上に効果あり

特異性の原則とは、同じような運動を利用したトレーニングを行うと効果的に能力を高めることができるという原則です。
特異性の原則には最大筋力を増やしたい場合(負荷様式から見た特異性)や、車椅子へ乗り移る、階段昇降、ジャンプなどの動作を獲得したい場合(動作様式から見た特異性)などがあり、どんなパフォーマンスを高めたいか、目的によって運動方法も変わってきます。
たとえば垂直飛びの高さを高めたいときに、個別に足のトレーニングを行うよりも垂直飛びの練習を多く行う方が効果的になります。
つまり、ある動作の筋力を高めたい場合はその動作を繰り返した方が、その動作の筋力を効果的に獲得することができるというものです。
さらにこの原則に沿ったトレーニングと普通の筋トレを複合して行った場合、最も効果的に運動能力が向上したとあり、パフォーマンスを高めたい場合は複合して行うことが重要です。

●高齢だからとあきらめないで!低負荷の運動でも継続すれば効果あり!

高齢者でも適切な負荷の運動を行なえば効果があると言われています。
しかし、高齢になると病気や関節の痛みなどのリスクがあるため、筋肥大を目的としたような高負荷な運動はなかなか実施しにくいです。
久野は高齢者に対して15RM程度の低負荷なトレーニングを週2回1年間行ったところ、1年前より高い数値を示したと報告しており、強度を低く設定しても長期的に継続することで効果が期待できると考えられます。

適切な負荷量でトレーニングを継続し、健康増進、パフォーマンスの向上を目指そう

筋力トレーニングを継続して行うことは健康増進や運動能力の向上につながり、高齢の方はADL(日常生活動作)の向上やQOL(生活の質)の向上にもつながります。
しかし負荷量の設定が適切でなければけがや痛みの誘発など、逆にQOLを低下させる要因にもなります。
自分自身の目的に適した負荷量を探して、充実したトレーニングに励みましょう。

参考:
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 筋力・筋持久力.(2019年2月21日引用)
久野譜也:高齢者における筋力トレーニングのガイドライン(生活機能の維持・増進のための体力に関するガイドラインの開発).体力科學53(1):65-66,2004-02-01,日本体力医学会.(2019年2月21日引用)
岡西哲夫他:下肢関節疾患の理学療法 理学療法MOOK8 第1版.三輪書店,2002,pp.175-176.(2019年2月21日引用)

  • 執筆者

    鴨居 健一

  • 専門学校卒業後、理学療法士として整形外科病院に勤務しています。
    大腿骨骨折などの高齢者の骨折の手術後はもちろんのこと、靭帯損傷などのスポーツ外傷や成長期のスポーツ障害、慢性疾患など幅広く対応しています。
    日本理学療法士協会認定の認定理学療法士(運動器)も取得しています。
    また、中学生の野球チームへのトレーナー活動や、車椅子テニス大会などのサポート経験もあります。
    皆様の疑問に答えられるような執筆をしていきたいと思います。

    保有資格:保有資格、理学療法士、認定理学療法士(運動器)

コメントをどうぞ

ご入力いただいた名前・コメント内容は弊社がコメント返信する際に公開されます。
また、個別の治療方針や転院に関するご相談にはお答えいたしかねます。ご了承ください。
メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)