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健康寿命を3年以上伸ばす取り組みとは?2040年までに厚生労働省が予定しているプランをご紹介

2019年5月には、厚生労働省によって「第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の資料で、「健康寿命延伸プラン」が提示されました。
その中で、3つのプランを通して、2040年までに男女ともに健康寿命を3年伸ばし(2016年比)、75歳以上にすることを目標に掲げています。
資料には難しい用語も多いため、この記事ではわかりやすく解説していきます。

健康寿命を3年以上伸ばす取り組みとは

1.健やかな生活習慣の形成

高齢になっても元気で健康に暮らすためには、生活習慣の見直しが欠かせません。
また、老若男女関係なく、生活習慣を考えることは大切です。
今回の資料では「次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成」とされており、さまざまなライフステージを考慮したプランが提示されています。

●食環境づくり

食事と健康には密接なかかわりがありますが、その側面からも健康寿命を伸ばすことにつなげていく試みが計画されています。
まずは、摂取する食塩の減少、ヘルシーメニューの提供などが、健康に与える効果を分析し、エビデンスを構築していきます。
また、減塩商品の製造やPRを後押ししたり、健康な食事に関心が低い人に対して啓発を行ったりすることが予定されています。

●健康づくりに取り組む企業を増やす

厚生労働省が手がける国民運動に、「スマート・ライフ・プロジェクト」があります。
これは、「健康寿命を伸ばしましょう。」というスローガンのもと、運動・食生活・禁煙を中心にアクションを起こすことを呼びかけるものです。
このプロジェクトの事例集を充実させるために、成功要因の分析、有識者へのヒアリングを行うことが計画されています。
2018年3月の時点ではSLPの参画団体が4,682ですが、これを7,000に増やすことを目標としています。

●PHRの活用を推進

PHRとは、「パーソナル・ヘルス・レコード」の略であり、健康診断の結果や、服薬履歴などの情報のことを指します。
PHRがあれば、ばらばらに保管されてしまいやすい健康情報を、本人や家族が正しく把握することにつながります。
PHRの推進に向けた検討を行い、本人に情報提供する仕組みの整備を進めることが予定されています。

そのほか、妊娠前や妊産婦の方の健康づくり、女性の健康づくりについてもプランに含められています。
さまざまなライフステージにある方の健康を支える体制の整備が進められる見込みです。

2.疾病予防・重症化予防

いつまでも元気でいるためには、できる限り病気を予防することが大切です。
そして、病気になったとしても、早期発見や早期治療によって、重症化を防ぐ試みが重要になります。
どのような疾病予防、重症化予防が検討されているのかご紹介します。

●がんによる死亡率の低下

日本では、がんによる死亡率が高く、1981年以降、毎年連続して死因の1位とされています。
がん検診の受診率を高めることに成功している自治体の事例を横展開したり、受診勧奨はがきを活用したりして、特定健診率を70%以上にすることを目指します。
また、がんを早期発見・早期治療するための検査や研究を推進することにも触れられています。
がんの検査については、血液や唾液などを用いた検査など、簡便な方法の開発が検討されています。

●慢性腎臓病の予防

慢性腎臓病は、腎臓の障害が3カ月以上続くときに診断されます。
腎臓の機能が低下していくと、透析や腎移植が必要になるケースもあります。
かかりつけ医と専門医療機関が連携して、診療体制を構築するなどして、慢性腎臓病の予防や重症化予防に向けた施策が検討されています。

●保険者のインセンティブの強化

日本では、医療費が膨れ上がり、財政を圧迫する要因のひとつになっています。
セルフメディケーション税制など、指定の医薬品を購入して自分で健康管理をすることで、ある金額を超えた部分を控除額に充てられる仕組みなども登場しています。
市町村や都道府県レベルでも、医療費の適正化や保健事業などに対する取り組みが評価された場合、国から補助金を受け取れる制度があります。
これは、「保険者努力支援制度」といい、今回の資料の中でも着目されています。
この制度の事例について把握し、評価の仕方を見直していくことが予定されています。

●運動施設でのプログラム策定

地域の運動施設で、体を動かす習慣のある人も多いですが、なかには運動を習慣化できていない人、運動に関心がない人もいます。
医療機関や民間事業者と連携し、年齢や性別も考慮した運動のプログラムを作成することが計画されています。

このほか、生活保護受給者の健康支援、歯周病などへの対策強化についても盛り込まれています。

3.介護予防・フレイル予防・認知症予防

介護予防、認知症予防は、高齢者の健康な暮らしのために大切なことです。
また、フレイルとは、高齢者の心身の活力が低下していますが、生活機能が向上する可能性はある状態を指します。
フレイルは、要介護になる前の段階ととらえるとわかりやすいです。
介護・フレイル・認知症の予防のために、どんな取り組みが検討されているのかみていきましょう。

●「通いの場」を拡充

厚生労働省は、地域づくりによって介護予防をする取り組みを続けており、その中で「通いの場」という言葉が用いられています。
通いの場とは、高齢者が歩いて15分以内で、週に1回以上継続して通い、トレーニングをできる場所のことです。
人員やコストの面から、住民主体で運営し、虚弱高齢者や後期高齢者も行えるようなトレーニングが良いといわれています。
通いの場の大幅な拡充を目指し、「保険者機能強化交付金」を活用するとしています。
通いの場が増えると、外出の機会、他者と交流する機会にもつながるでしょう。

●配食サービスの普及

地域で暮らす高齢者が、配食サービスを利用する例も増えてきました。
栄養管理だけでなく、見守りの機会にもなるなど、注目を集めています。
今回の資料でも、地域の共食の場、ボランティアなどを活用して、配食サービスを行うモデル事業を行い、横展開することが予定されています。

●認知症対策

通いの場を活用して認知症を予防するなど、優良事例を調べ、事例集・ガイドラインが作成される予定です。
認知症予防に関する研究、官民連携のプロジェクトなども含められており、さまざまな角度から認知症対策を推進していくことが計画されています。
認知症の「予防」だけでなく、「共生」という考え方も柱になっています。

そのほか、日常生活動作が維持されたり、改善された場合に介護報酬上のインセンティブを強化する仕組みなどが検討されています。

なお、フレイルについて知識を身につけたい方はこちらの記事(介護が必要になるのは目前!?介護予防のためには必ず知っておきたいフレイルについて解説します!)をご参照ください。

健康寿命を伸ばすには、個人の心がけも大切!

2040年までに健康寿命をプラス3歳に伸ばすため、さまざまなプランが提示されています。
厚生労働省が手がける取り組みも大切ですが、やはり一人ひとりの心がけも大切です。
ウォーキングなど軽い運動を続けてみたり、栄養のバランスや減塩を意識してみたり、未来の自分のためにできることはやっておきましょう。

ウォーキングを始めてみたいという高齢者の方は、こちらの記事(高齢者の介護予防におすすめなウォーキングのコツを理学療法士が解説します)もご一読ください。

参考:
厚生労働省 地域づくりによる介護予防を推進するための手引き.(2019年6月28日引用)
厚生労働省 健康寿命延伸プラン 資料4.(2019年6月28日引用)

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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