お風呂でできる膝の運動!エクリハのDVDで膝の痛みや変形性膝関節症を予防・改善
年齢を重ねるにつれて、膝の痛みに悩まされていませんか?
すでに病院や施設で膝のリハビリを受けている方もいれば、これから痛みが生じないように予防していきたいという方もいるでしょう。
今回は、お風呂でできる膝の運動が収録された「エクリハ(お風呂で簡単!ひざエクササイズ)」についてご紹介します。
膝の痛みや変形性膝関節症に関する基礎知識
多くの人を悩ませる膝の痛みや変形性膝関節症。
まずは症状や原因について基本的な事項を確認していきましょう。
●変形性膝関節症とは?
膝の痛みを訴える人の約9割は、変形性膝関節症が原因とされています。
変形性膝関節症では水がたまる症状や膝の痛みが生じることが多く、高齢になるほど罹患率は高まります。
初期段階では、立ち上がるときなど運動の開始時に痛みが生じるだけですが、悪化すると安静時にも痛みを感じるようになります。
膝の痛みや変形性膝関節症を放置すると状態が悪化する恐れがあるため、注意が必要です。
●変形性膝関節症の原因
骨の関節面は、関節軟骨で覆われています。
この軟骨は、体重による負荷、関節の使いすぎなどが原因となってすり減っていきます。
肥満などの影響も受けますが、関節を支える周囲の筋力が低下している場合には、軟骨への負担が大きくなります。
したがって、変形性膝関節症を予防したり、悪化させたりしないためには、太り過ぎないように注意しつつ、膝のまわりの筋肉を鍛えることが大切です。
膝が安定化すると、立ち上がるときなどに負担がうまく分散するため、軟骨への負担を軽減することにつながります。
自宅で手軽にできる膝の運動!「エクリハ」の概要
エクリハは、河村顕治教授(吉備国際大学保健医療福祉学部)が考案・監修したDVDです。
リハビリ機器を手がけるオージーウエルネスが、一般の方向けに作ったDVDであるため、内容がやさしく、誰でも手軽に取り組めるものとなっています。
●お風呂でできるエクササイズ
「エクリハ」は、毎日の入浴時に浴槽の中で実施することができるエクササイズを収録したDVDです。
お風呂に入ったら実施できるので、運動習慣として定着しやすいという利点があります。
無理なく、負担なく、痛みなく行えるメニューになっているため、体力に自信がない方でも手軽に取り組めます。
DVDには、脱水症状、ヒートショック、転倒などを防ぐためのアドバイスも含まれているため、それに沿って行うと安心です。
●お風呂で実施するエクリハのメリット
リハビリに通っていたとしても、週に1回20分、40分など、ごく限られた時間しか訓練を受けることはできません。
それ以外の時間をどのように過ごすかが鍵を握るといっても過言ではないため、少しずつであっても、毎日コツコツ継続してみてください。
お風呂で行うことができるエクリハでは、特別な道具を用意する必要もありません。
毎日の入浴習慣に手軽にプラスできるため、継続につながりやすいことがメリットといえます。
筆者自身も取り組んでみたところ、繰り返し行っていると、お風呂に入ったときに癖のようにして実施できるようになると感じました。
●エクリハで行う運動の内容は?
実際に行う運動も、浴槽の中に座って、後ろの壁に背中をつけて足を伸ばした状態で行うものが主体となります。
両足を突っ張るようにしながら、前にある壁を足で押すようにしたり、軽く膝を曲げ伸ばししたりするだけの簡単な運動です。
また、お風呂上がりにお部屋で実施できる簡単なストレッチも収録されています。
いずれもゆっくりとした軽い運動であるため、ご高齢の方でも負担にならずに継続していけるでしょう。
エクリハの継続によって得られる効果とは?
お風呂でエクリハを行うことによって、膝の状態はどのように変わっていくことが期待できるのでしょうか。
膝の痛みに対する効果がわかれば、エクササイズに対するモチベーションも高まります。
次に、エクリハの継続によって期待できる効果についてお伝えしていきます。
●8割以上の人で「効果が見られた」
エクリハを考案・監修している河村教授によると、毎日継続することによって中高年の膝の痛み、変形性膝関節症に効果が期待できるといいます。
毎日エクササイズを行った27人のうち、なんと85.2%が「効果が見られた」としています。
効果があったと回答した人のうち、膝の痛みが継続して緩和した時期は、1カ月後が13%、2カ月後が34.8%、3カ月後が52.2%とされています。
つまり、3カ月経過する頃には、8割以上の人で膝の痛みが和らいでいるということになります。
特に膝のまわりの筋力が衰えていることが痛みの原因になっていた人では、ある程度の期間継続することによって、効果が実感できるのではないでしょうか。
●膝の痛みが和らいでも予防的に継続しよう
一定期間、エクリハのメニューを継続すると、膝の痛みが緩和されてくることがあります。
痛みが和らいだとしても、運動をやめるとまた膝のまわりの筋力が低下して痛みが再発する可能性もあるため、予防的に継続しておいて損はありません。
難しい運動ではなく、「お風呂に入ったときのついで」といった感覚で、気軽に取り組んでみてください。
中高齢の方はエクリハを継続して膝の健康を守ろう!
年を重ねてから、膝の痛みに悩まされたくはないものです。
しかし、加齢とともに膝の痛みや変形性膝関節症に頭を悩ませる人も多いため、中高齢の方にとっては他人事ではありません。
もちろん、軟骨のすり減りを防ぐために、若いうちから対策しておくに越したことはないでしょう。
すでに痛みがある人はもちろん、これから痛みが生じるのを予防したい人も、ぜひエクリハで膝の健康を守っていきましょう。
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執筆者
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作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
保有資格:作業療法士、作業療法学修士