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腰痛は精神的なストレスが原因で悪化することも!メカニズムやチェック方法、対処法を紹介

腰痛にはいろいろな原因がありますが、実は腰痛のうち85%が、はっきり原因のわからない腰痛(非特異的腰痛:ひとくいてきようつう)とされています。
この場合、精神的なストレスが要因で腰痛が悪化したり、長引いたりすることが問題となります。
今回はストレスが原因で長引く腰痛について、メカニズムやチェック方法、対処方法を紹介します。

ストレスが原因の腰痛がある

なぜストレスで腰痛が悪化するの?心理的要因と腰痛の関係を解説

なぜストレスで腰痛が悪化するの?心理的要因と腰痛の関係を解説

腰痛と聞くと椎間板ヘルニアぎっくり腰を思い出すかもしれません。
しかし、腰痛の85%は腰自体にはっきりとした原因が特定できないとされています。
中でも長引く腰痛は腰そのものの問題よりも、心理的な原因の影響が強いとされ、対処法に気をつける必要があります。
そこで、腰痛の3つの種類を知り、心理的なストレスと腰痛の関係を解説します。

●腰痛は大きく分けて3種類

腰痛は大きく分けて3種類

腰痛の診断をする場合、大まかに腰痛を次の3つの種類に分けて状態を把握します。

1.Red flag sign

重症の疾患の可能性がある腰痛

2.Green light

神経による症状や画像などで腰痛を引き起こすような異常が見られない回復の可能性が高い腰痛

3.Yellow flag sign

腰痛が長引いたり、長期の休職、活動的な生活を送れない状態が続く可能性のある心理的な要因が関連する腰痛

以上のような分類で、すぐに医師による対応が必要なのが、red flagに当たる危険な腰痛です。
ほかの腰痛は心配するような病気が潜む腰痛ではなく、運動や生活の改善で治る腰痛です。
しかし、腰痛に対する過度な安静や不安、仕事や家庭などでのストレスなど心理的な要因が重なると長引いたり、治りにくかったりする腰痛に移行する場合があります。

※危険な腰痛に関しては「腰痛が治らない方は必見!受診したほうが良い危険な腰痛の見分け方」の記事で詳しく解説しています。

●脳の機能が障害されて腰痛を引き起こす

脳の機能が障害されて腰痛を引き起こす

先ほど紹介した、yellow flag signに当たる腰痛は、脳の機能と密接に関係しています。
一度腰痛が生じると脳でドーパミンやオピオイドという物質が出てきて、痛みを抑えようとします。
しかし、ストレスや痛みへの恐怖などの悲観的な感情・解釈が加わると、それらの物質の分泌に狂いが生じてしまいます。
その結果、痛みを感じやすくなってしまったり、痛みが長引いてしまったりするのです。

●痛みへの考え方で脳の障害のきっかけに

痛みに対する過剰な考え方の1つに「破局的思考(はきょくてきしこう)」と呼ばれるものがあります。
以下に破局的思考の3つの考え方を示します。

  1. 1.痛みのことを常に考えてしまう状態
  2. 2.痛みに何もできずどうしようもできないと考える状態
  3. 3.痛みやそれによる影響を過剰に大きく捉えてしまう状態

このような考えがきっかけで、脳の機能の低下や過剰な安静による痛みの悪化につながります。
そのため、医療関係者に適切な診断を受けて、不安や恐れを取り除くことが重要です。

腰痛の原因がストレスであるかどうかチェックする方法

ストレスが原因で腰痛になっているといっても、ピンとこないかもしれません。
そこで、いくつかチェックする方法があるのでご紹介します。

●日本語版恐怖回避思考質問表(FABQ:Fear-Avoidance Beliefs Questionnaire)

腰痛に対する考え方を調べる検査で、動作が腰にどれくらい影響があるかを各質問7段階で確認します。
合計15点以上あれば腰痛に対する恐怖や不安が強く、脳の機能低下を招きやすい傾向があるとされています。

全くそう思わない・どちらとも言えない・全くその通りである
私の腰痛は身体の動作が原因で生じた   0  1  2  3  4  5  6
身体の動作は、私の痛みを悪化させる   0  1  2  3  4  5  6
身体の動作は、私の腰に悪い影響を与えるかもしれない   0  1  2  3  4  5  6
私の腰痛を悪化させる(悪化させるかもしれない)
ような身体の動作をすべきではない
  0  1  2  3  4  5  6
私の腰痛を悪化させる(悪化させるかもしれない)
ような身体の動作はできない
  0  1  2  3  4  5  6

●STarT(Subgroup for Targeted Treatment)Back

そうではない そうだ
ここ2週の間、腰痛が足のほうにも広がることがあった 0点 1点
ここ2週の間、肩や首にも痛みを感じることがあった 0点 1点
腰痛のため短い距離しか歩いていない 0点 1点
ここ2週間は、腰痛のため、いつもよりゆっくり着替えをした 0点 1点
私のような体の状態の人は、体を動かし活動的であることは、
決して安全とはいえない
0点 1点
心配事が心に浮かぶことが多かった 0点 1点
私の腰痛はひどく決して良くならないと思う 0点 1点
以前は楽しめたことが、最近は楽しめない 0点 1点

●BS-POP(患者用)

腰痛患者さんに対して心理的な要因がどれくらい潜んでいるかを調べる質問です。
15点以上で心理的な要因が潜む可能性があるとされます。

1.泣きたくなったり、泣いたりすることがありますか いいえ
(1点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(3点)
2.いつも惨めで気持ちが浮かないですか いいえ
(1点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(3点)
3.いつも緊張してイライラしていますか いいえ
(1点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(3点)
4.ちょっとしたことが癪(しゃく)にさわって
腹が立ちますか
いいえ
(1点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(3点)
5.食欲は普通ですか いいえ
(3点)
ときどきなくなる
(2点)
ふつう
(1点)
6.1日の中では、朝方がいちばん気分がよいですか いいえ
(3点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(1点)
7.なんとなく疲れますか いいえ
(1点)
ときどき
(2点)
ほとんどいつも
(3点)
8.いつもと変わりなく仕事ができますか いいえ
(3点)
ときどきやれなくなる
(2点)
やれる
(1点)
9.睡眠に満足できますか いいえ
(3点)
ときどき満足できない
(2点)
満足できる
(1点)
10.痛み以外の理由で寝つきが悪いですか いいえ
(1点)
ときどき寝つきが悪い
(2点)
ほとんどいつも
(3点)

これらは質問によって、腰痛に影響を与える心理的な要因やストレスがどれくらい関係しているかをチェックする方法です。
気になる点数が出た場合は医師に相談をするようにしましょう。

ストレスで腰痛を長引かせない対処法を理学療法士が紹介

腰痛を長引かせないために必要な対処方法をいくつか紹介します。

●ストレスの発散を心がけよう

職場や家庭でのストレスをためないよう、趣味や運動などでストレスを発散させることが、腰痛予防につながります。
とりわけ、有酸素運動のような軽く汗をかくような運動は、うつ病の改善に対する効果が期待されておりおすすめです。

●生活習慣の改善をしよう

喫煙や睡眠不足、運動不足(過剰な安静)、漫然としたコルセットの活用などの生活習慣は、腰痛を長引かせる要因となります。
コルセットの着用は腰痛対策の1つでもありますが、腰への負担が強まる作業や姿勢をする必要がある場合にするのは有効ですが、長期間または習慣的に使用する効果は証明されておらず、腰の筋肉を弱らせるという報告もあり注意が必要です。

●マインドフルネスや認知行動療法は破局的思考の解決におすすめ

腰痛の引き金となる思考を解決する方法として、「マインドフルネス」や「認知行動療法」
があります。

○マインドフルネス

「瞑想」のように今の瞬間に意識を向けて、気分を落ち着かせたり、精神的に安定したりする方法をマインドフルネスといいます。
大企業や精神科病院でも活用されている方法です。

※マインドフルネスの詳細は「話題のマインドフルネスで心をスッキリ!精神科医療・リハビリへの応用可能性を探る」で紹介しています。

○認知行動療法

偏った物事の捉え方や考え方を修正して行動を変える治療法です。
うつ病などの精神に関する病気の治療にも活用され、長引く腰痛にも改善が期待できる方法とされています。

※認知行動療法は「うつ病の治療に活用したい「認知行動療法」のやり方を作業療法士向けに解説」で紹介しています。

正しい知識を持って医療関係者を活用して適切な腰痛対策をしよう

医師に正しい診断を受けるとともに、腰痛は患者さん自身が正しい知識を持って、必要以上の安静や恐怖心を持たずに対応する必要があります。
そして、理学療法士に腰痛のきっかけとなった動作や姿勢、環境をチェックしてもらい、改善方法や必要な運動を指導してもらうことで悪化や再発を防ぐことができます。
もし、ストレスのかかる生活習慣をしているようであれば、それらを見直して、腰痛のない快適な生活を目指しましょう。

参考:
松平浩:職場での腰痛には心理・社会的要因も関与している-職場における非特異的腰痛の対策-. 産業医学ジャーナル33(1):60-66, 2010.
松平浩,菊池徳昌,他:日本語版STarT (Subgrouping for Targeted Treatment) Backスクリーニングツールの開発 : 言語的妥当性を担保した翻訳版の作成.Journal of musculoskeletal pain research : 日本運動器疼痛学会誌 5(1):11-19, 2013.
Rostami M, Noormohammadpour P,et al.: The effect of lumbar support on the ultrasound measurements of trunk muscles: a single-blinded randomized controlled trial.PM&R6(4):302 -308, 2014.
水野泰行:慢性疼痛と破局化(<特集>慢性疼痛と心身医学).心身医学50(12):1133-1137,2010.

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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