曲げると痛い膝の痛みは変形性膝関節症かも。変形性膝関節症でしてはいけない動きとは?
階段を下りるときや冷えたときに膝が痛む、ということはありませんか?
その痛み、変形性膝関節症かもしれません。
日常生活習慣で症状が重くなることもありますが、生活習慣を変えることで痛みを軽減することもできます。
この記事では、膝の痛みがあるときに普段の生活で気をつけること、おすすめの運動などについてお伝えします。
膝が痛い…軟骨がすり減っているかも
膝の痛みで整形外科を受診したときに、変形性膝関節症と診断された方もいるのではないでしょうか。
実は高齢の方の場合、この変形性膝関節症と診断されることがほとんどなのです。
変形性膝関節症は、老化現象により徐々に軟骨がすり減ってしまうことで痛みが発生する病気です。
特に立ち上がりや歩き始めなどの体重がかかる行動をするときに痛みが発生します。
軟骨は血管がありませんので、一度すり減ってしまった軟骨は治療やサプリメントで増えたり回復したりすることはありません。
整形外科治療で打つヒアルロン酸注射やサプリメントはあくまで関節を保護して症状の進行を遅らせるためのものになります。
膝の曲げ伸ばしで痛みが発生することで、正座ができない・階段を下りるときがつらいなど、日常生活に制限や苦痛が出る場面もあるでしょう。
そんな困った状態を整形外科での治療やサプリメント以外でも、日常生活の中に軽くするヒントがあるのです。
膝の痛みがあるときに避けたい生活習慣
1. 正座をする
痛みがある方は正座の姿勢を避けているかと思いますが、まだまだ床に座って生活する方は多いもの。
床に座るとつい正座になってしまうことがあるでしょう。
実は正座の姿勢をとることで、すり減った膝の軟骨をさらにすり減らしてしまうのです。
床に座る習慣がある方は、できれば椅子に座る、洋式の生活様式に切り替えるのがよいでしよう。
2. 階段を下りる
自宅内でもそうですが、外出先で階段を下りる場面があるかと思います。
階段を上るときは問題がありませんが、下りるときは体重の7倍の負荷が膝にかかります。
この負荷が、軟骨を減らす原因になるのです。
駅やデパートの移動で下りるときは、遠くてもエレベーターやエスカレーターがある場所まで移動しましょう。
自宅は仕方がありませんが、「外では下りの階段は使わない」くらいの心構えでいるとよいでしょう。
3. 肥満を放置する
人は立つときや歩くとき、下半身で体重を支えています。
先述したとおり、階段を下りるとき、膝には体重の7倍の負荷がかかります。
体重が標準体重を超えている人ほど、膝の軟骨を自分の体重ですり減らすことになります。
実際に、整形外来では減量した後に膝の痛みが軽減したという方もいらっしゃいました。
肥満そのものが膝への負荷になっているのです。
4. 運動をしない
膝の痛みがあると、健康のためのウォーキングも、「歩くだけで痛いから…」と避けてしまいがちです。
膝が痛いからといって自宅でじっとしていると、膝だけでなく、下半身全体の筋力が低下します。
平地を歩くことで軟骨がすり減ることはほとんどないので、ウォーキング自体が膝の負荷になることはありません。
膝が痛いときの運動療法の一例
膝の軟骨は増えないため、その周囲の筋力を強化して膝を支える力をアップする必要があります。
また、痛みの原因が関節の硬さで起こることもあるので、ストレッチをするのもよいでしょう。
今回はおすすめのストレッチを3つご紹介します。
1. 太ももの前の筋肉を鍛える
椅子に浅く腰かけます。
片方の足を床のほうに伸ばし、片方の足を90度に曲げます。
伸ばしたほうの足を膝と同じ高さまで上げます。
このとき、5~10秒ほど数えます。
足を戻します。
交互に20回ずつ、朝晩2回行いましょう。
2. 太ももの横の筋肉を鍛える
横向きに寝て、上側の足を伸ばしたまま、またを開くようにゆっくり上げます。
5秒間動きを止めます。
このとき、呼吸は止めないようにしましょう。
そのあと、上げた足をゆっくり下ろします。
3. 膝の曲げ伸ばしをよくする運動
床に膝を伸ばして座り、踵を伸ばして足の下にタオルを敷きます。
踵をゆっくり滑らせて、膝をできる限り自分のほうに曲げます。
踵をゆっくり滑らせて、膝を伸ばします。
年齢を重ねてからの膝の痛みには、いたわりと運動が必要
階段を下りるときに膝が痛いのは、加齢性の変化により軟骨がすり減っているのが原因です。
すり減った軟骨は再生しないので、できる限り痛めないように大切にする必要があります。
それと同時に、周囲の下肢の筋力を鍛えることで、痛めた膝の機能を補ってくれることもあります。
毎日の生活の中で、膝の軟骨を少しでも維持できるように心がけていきましょう。
参考:
厚生労働省 変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム(2021年8月10日引用)
オリンパス テルモ バイオマテリアル株式会社 ひざの病気と治療方法(2021年8月10日引用)
一般社団法人徳洲会 整形外科の病気:変形性膝関節症(2021年8月10日引用)
日本整形外科学会 変形性膝関節症(2021年8月10日引用)
全日本民医連 特集2 変形性膝関節症 多くは保存療法で症状改善(2021年8月10日引用)
たてやま整形外科クリニック 変形性膝関節症の症状(2021年8月10日引用)
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執筆者
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小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。
保有資格:看護師・介護支援専門員