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介護予防運動

健康寿命を左右する!ロコモティブシンドローム(運動器症候群)のセルフチェック・予防の方法

ロコモティブシンドローム(ロコモ)という言葉はご存じでしょうか?
ロコモは日本語で運動器症候群とも呼ばれています。
日本整形外科学会は、高齢化社会を迎え運動器の障害が増加している現状をみて、2007年にロコモティブシンドロームという概念を提唱しました。
今回は、健康寿命を左右するロコモティブシンドロームとはどういったものか、理学療法士の筆者がセルフチェックと予防について説明していきます。

放置は禁物!ロコモの基本と注意すべき人の特徴

運動器とは骨や関節、筋肉など体を動かすために必要な器官の総称で、運動器に何かしらの障害が起こって移動機能(立位、歩行能力)が低下した状態のことをロコモといいます。
自立度が低下する原因の第1位が運動器の障害(約25%)といわれており、いかに運動器の障害が健康寿命を短くさせているか想像できます。
できるだけ長く自分の足で歩くためにも、運動器を長持ちさせてロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが大切です。

●ロコモになる原因は運動器の疾患と日常生活の習慣にあった

「まだそんな年でもないし大丈夫だろう」と思っているあなた!少し待ってください。
骨や筋肉量は20~30代でピークになり、それ以降は徐々に低下していきます。
「運動習慣がない」「階段がきついからエレベーターばかり使う」「肥満、痩せすぎ」など不適切な栄養摂取や運動習慣によって骨や筋肉量がさらに減少すると、「骨粗しょう症」「変形性関節症」などの疾患を引き起こします。
これらの疾患により膝痛や腰痛が出現し、さらに移動機能が低下してしまうのです。
「まだ若いから」ではなく「動けるうちに」生活習慣を見直していきましょう。

●こんな人は要注意!ロコチェック

「最近体力が落ちてきた」と感じている方は、7つのロコチェックを確認してみましょう。
次の項目のなかに、できなくなってきたものがある場合は注意が必要です。

  1. 1)片脚立ちで靴下がはけない
  2. 2)家のやや重い仕事が困難(掃除機など)
  3. 3)15分連続で歩くことができない
  4. 4)家の中でつまずいたり滑ったりする
  5. 5)横断歩道を青信号で渡り切れない
  6. 6)階段で手すりが必要
  7. 7)約2㎏の買い物をして持って帰るのが大変

これらのチェック項目から簡単に日常生活を振り返ることで、自分自身が今どのような身体状態か大まかに把握することができます。

●放っておくと疾患の重症化、要介護状態に!

筆者が担当した患者さんで「足の付け根が痛いけど年のせいかな?」と長年放置していた方がいました。
この方は変形性股関節症でしたが、病院を受診したときにはかなり進行しており手術が必要と判断されました。
しかし、内科的な疾患も患っており、手術をするにはリスクが高かったため、最終的には手術もできず車椅子での生活になってしまいました。
この方の場合、痛みを放置したことで疾患が進行し、より重症になってしまったのです。
痛みや違和感があったら早めに病院を受診し、適切な対処をすることが重要です。

もしかしてロコモかも?セルフチェックできる3つの方法

先にご紹介した「ロコチェック」で該当する項目があった方は、次にご紹介する方法でより詳しくチェックしてみてください。
立ち上がりテスト2ステップテストロコモ25の3つのテストでロコモの判定をします。

●立ち上がりテスト

両脚または片脚で立ち上がり動作を行い、下肢の筋力をチェックします。
10cm・20cm・30cm・40cm、それぞれの高さの台に座り、反動をつけずに立ち上がって3秒間制止します。

  1. 1)40cmの台から両脚で立ち上がります。
  2. 2)40cmの台から両脚で立てた場合は同じ高さの台で片脚でテストします。
  3. 3-1)片脚で立てたら、10cmずつ低い台に移り片脚でのテストを続けます。
  4. 3-2)片脚で立てなかったら、10cmずつ低い台に移り両脚でのテストを続けます。

目安としては、40cmは一般的な椅子の高さで、2~3歳の子供が座るプーっと音が鳴る椅子が15cm程度になります。

●2ステップテスト

2ステップテストは歩幅をチェックするテストです。

  1. 1)つま先を合わせて立ちます。
  2. 2)バランスを崩さないように、できる範囲の大股で2歩歩き、両足をそろえます。
  3. 3)最初に立っていた位置からの距離を測り、全部で2回検査します。
  4. 4)2回検査して良いほうの記録を採用します。
  5. 5)測定値÷身長(cm)=2ステップ幅で計算して数値を算出します。

歩幅のテストになりますが、同時に柔軟性やバランスなども含めて評価することができる検査になります。

●ロコモ25

ロコモ25は直近1カ月の間に体の不調や痛み、日常生活の変化などの質問に答えるものです。

1)この1カ月の体の痛みなどについて

くび・肩・腕・手のどこかに痛みはありますか?
背中・腰・お尻のどこかに痛みはありますか?

2)この1カ月のふだんの生活について

ベッドや寝床から起きたり、横になったりするのはどの程度困難ですか?
腰掛けから立ち上がるのはどの程度困難ですか?

上記のような質問に25個答えてもらい、点数化します。
こちらのページから詳しくテストすることができるので、ぜひ点数を算出してみてください。

●判定方法

判定は「ロコモ度1」「ロコモ度2」で判定します。

1)ロコモ度1

  • ●どちらか一方の片脚で40cmから立ち上がることができない
  • ●2ステップテストの値が1.3未満
  • ●ロコモ25の結果が7点以上

上記のいずれかがひとつでも当てはまる場合はロコモ度1となります。
ロコモ度1は移動機能の低下が始まってきている状態です。

2)ロコモ度2

  • ●両脚で20cmの高さから立ち上がることができない
  • ●2ステップテストの値が1.1未満
  • ●ロコモ25の結果が16点以上

上記のいずれかひとつでも当てはまる場合はロコモ度2になります。
ロコモ度2になると移動機能の低下が進行し、自立した生活が難しくなってきます。

ロコモ予防はあなた次第!理学療法士がおすすめする予防法はコレ

加齢とともに筋力や柔軟性は低下するため、ロコモと判定された方はもちろん、判定されなかった方でも、少しずつトレーニングに励んでいきましょう。

●バランス能力改善と筋力アップ

バランス能力や筋力を改善できる簡単なトレーニング方法は、片脚立ちスクワットもも上げになります。

1)片脚立ち

転倒に注意する必要があるため、机や椅子などの支えにしっかりとつかまって行うようにします。
まずは片手で支えにつかまり、片脚を少し挙げます。
片手で支えにつかまることが難しい方は、無理をせず両手でつかまるようにして行っても大丈夫です。
1分間を目標に左右両脚とも行いましょう。

2)スクワット

肩幅くらいに足を開き、ひざがつま先より前に出ないように腰を落としていきます。
難しいときは、机と椅子を用意して机につかまりながら椅子に腰かけるようにしていきます。
このとき「ゆっくり腰を落とす」ことがポイントで、早く腰かけてしまうと何の効果もありません。

3)もも上げ

年齢が進むと、歩くときに脚が十分上がらずつまずきやすくなるため、もも上げをして脚を上がりやすくしましょう。
机や椅子につかまってバランスを保ち、太ももが床と平行になるまで持ち上げましょう。

●ポイントは時間!毎日のストレッチで柔軟性を改善!

体の柔軟性は年々低下していきますが、それもストレッチをすることで予防することが可能です。
難しいストレッチをする必要はなく、「アキレス腱伸ばし」「前屈」「開脚」「伸脚」など皆さんもよく知っているストレッチを正しく行いましょう。
ポイントは反動をつけずに30秒間ゆっくり伸ばすことです!

まとめ

ロコモを放っておくと活動性の低下や社会参加の制限、要介護状態になるリスクが高くなってしまいますが、適度な運動習慣や日々の生活習慣を見つめなおすことで予防することもできます。
まだ動けるときに!生活習慣を見つめなおし、健康寿命の延命に励んではどうでしょうか?

参考:
日本整形外科学会 新概念「ロコモティブシンドローム」(2018年2月6日引用)
日本臨床整形外科学会 ロコチェック(2018年2月6日引用)
ロコモチャレンジ ロコモ度テスト 立ち上がりテスト(2018年2月6日引用)
ロコモチャレンジ ロコモ度テスト 2ステップテスト(2018年2月6日引用)
ロコモチャレンジ ロコモ度テスト ロコモ25(2018年2月6日引用)

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