姿勢を正して若々しく!良い姿勢を維持するために今日から実践できる効果的な対策3選
「お母さん最近背中が曲がってきたな…」「姿勢が悪くなってきた気がする」と感じている方はいませんか?
背中が丸くなっていく疾患、正式には脊柱後わん症(こうわんしょう)といいます。
背中が後わんしてしまうとどのような影響があるのでしょうか?
姿勢が悪くなるデメリットと予防、改善方法を解説していきます。
見た目だけではない!姿勢が悪くなると起こるデメリットとは!?
姿勢が悪くなることで、どんな影響があるかご存じですか?
実は見た目だけではなく呼吸障害や腰痛も出現し、日常生活にも影響してきます。
そのほかにどんなデメリットがあるのか、さらにくわしく解説していきます。
●姿勢が悪いと老けて見られる
姿勢が悪くなり後わんしてしまうと、実年齢よりも高く見られることが多く、身長も低くなってしまいます。
筆者が担当している女性の患者さんは、60代前半から脊柱の後わんが進んでしまい、ご主人から「夫婦に見られたくない」といわれてしまった方がいました。
筆者から見ても、実年齢より高く見えることは確かですが、背中が曲がっているというだけで老けて見られるのは、やはりうれしいものではありません。
●歩行や立ち上がりなど日常動作に影響が!
脊柱が後わんしてしまうと、骨盤が後ろに傾く「後傾(こうけい)」という状態になります。
後傾すると重心が後方に移動してしまうので、立ち上がりがスムーズに行えなくなってしまいます。
ほかにも、
- 1)手を上にあげにくい(高い所の物が取れなくなる)
- 2)腹筋が低下する
- 3)体の回旋が難しくなる
- 4)肩やひざ、腰などに痛みがでる
- 5)足を高くあげるのが難しくなるため転倒しやすくなる
- 6)仰向け、うつぶせが難しくなる(高いクッションなどが必要)
など、日々のなに気ない動作にまで影響がでてしまいQOL(生活の質)の低下につながります。
●内臓や呼吸器への影響も!
後わんは内臓や呼吸器にも影響を及ぼし、胸郭(きょうかく)の動きが制限されるため呼吸がしづらくなったり、逆流性食道炎(胸やけ)になるといわれています。
背骨の後わんは改善できる?!後わんになる理由を解説します!
脊柱が後わんしてくる原因には、先天性の疾患によるものや日常生活の姿勢、加齢による骨の変形や筋力低下、圧迫骨折などによる脊椎の変形が挙げられます。
それぞれの原因についてみていきましょう。
●年齢変化による体幹の筋力低下
良い姿勢を維持するには筋力が必要不可欠です。
しかし、加齢とともに徐々に筋力は低下してしまい、良い姿勢を維持することが難しくなってきます。
もちろん高齢でも、シャキッとした姿勢を維持している方もいらっしゃいますので、加齢による筋力低下だけで曲がってしまう、というわけではありません。
●普段の姿勢に注意!猫背になっていませんか!?
筋力があっても、普段から猫背のような姿勢で生活している方は将来的に後わんしてくる可能性があります。
パソコンやスマホ、読書などは特に悪い姿勢になりやすいですが、こうした姿勢を長時間とっていると自然と猫背が習慣になり、いずれ後わんへとつながる可能性が高くなります。
さらに、猫背の姿勢では良い姿勢を維持するための筋肉が働かず、筋力低下も進みやすくなってしまうのです。
●圧迫骨折や加齢による脊柱の変形
圧迫骨折とは、尻もちを着いたときなどに背骨がつぶれてしまう骨折のことです。
一度つぶれてしまった骨は元の大きさに戻すことは難しく、変形したままくっつくのを待つことになります。
そして変形した背骨は、脊柱自体が曲がってきてしまいます。
高齢の方で厄介なのが「いつのまにか骨折」と言われるもので、特に転倒したり捻ったりしていないのに、知らないうちに圧迫骨折が起きてしまう、というものです。
これに深く関与しているのが「骨粗しょう症」です。
骨粗しょう症は骨が弱くなる病気ですが、これにかかっていると気づかないうちに2,3カ所を圧迫骨折していた、ということもあり、こうなってしまうと変形を改善していくことは難しくなります。
●筋力低下や姿勢の影響であれば改善することも可能!
加齢などによる筋力の低下や普段のクセなどが原因であれば、少しずつ改善することも可能です。
しかし、先天性の疾患や圧迫骨折など、脊柱の形状そのものが変形している場合や変形が重度の場合は、改善することが難しくなってきます。
それでも、これ以上悪くはしたくないという「予防」の意識は持っておいた方がいいでしょう。
理学療法士がおすすめする背中が曲がった姿勢を予防、改善する方法3選
ここでは、自宅でもできる予防法や改善のための運動方法を解説していきますが、圧迫骨折などの原疾患がある方や変形が重度の場合は、無理に行ってしまうと症状が悪化する可能性があります。
自己判断はせず、必ず主治医に相談してから行うようにしてください。
●まずは意識改革!普段から姿勢を意識しよう
今この記事を読んでいるあなたは、どのような姿勢で読んでいますか?
まずは良い姿勢になってみましょう。
ここでのポイントは無理に胸を張りすぎないということです。
良い姿勢というと、胸を前に突き出して過剰に背骨を反らせる方が多いですが、これはやりすぎです。
頭の上から糸で引っ張られているようなイメージを持って姿勢を正してみましょう。
●背中周りのストレッチと体幹トレーニング
ストレッチとトレーニングの目的は、低下した筋力を強くすることと悪い姿勢によってこわばってしまった筋肉をほぐすことです。
以下に例として、おすすめの運動を挙げていきます。
- 1)仰向けでひざを立てた姿勢でお尻あげ(お尻の筋肉を強化)
- 2)仰向けでひざを立てて床から肩甲骨を離す(腹筋強化)
- 3)うつぶせで右手と左足、左手と右足を交互に浮かせる(背筋強化)
- 4)うつぶせで背中を反らす(背中のストレッチ)
- 5)両肘を外側に開いていき、肩甲骨を内側に寄せる(胸部のストレッチ)
良い姿勢をキープするためにも、基本の筋力トレーニングやストレッチはコツコツ続けていきましょう。
●圧迫骨折にならないために!食生活と適度な運動で骨粗しょう症を予防しよう!
脊柱の変形を防ぐには、骨粗しょう症による圧迫骨折をいかに防ぐかが重要になってきます。
そこで大事なのが日頃の食生活と適度な運動です。
適度な運動とはウォーキングや太極拳などの荷重運動です。
骨粗しょう症の予防と治療ガイドラインによると、運動参加に活発な方の骨粗しょう症性の骨折は少なく、骨密度を上昇させるといわれています。
栄養面ではバランスのいい食事が求められるのですが、カルシウムとビタミンDは骨密度上昇に効果があり、同時に摂取することが重要になってきます。
下記に推奨される食品と過剰摂取を避けたほうがいい食品を挙げておくので参考にしてください。
推奨される食品 | 過剰摂取を避けた方がいい食品 |
---|---|
●カルシウムを多く含む食品 (乳製品、小魚、大豆など) ●ビタミンDを多く含む食品 (魚、きのこ類) ●ビタミンKを多く含む食品 (納豆、緑黄色野菜) ●果物と野菜 ●タンパク質 |
●リンを多く含む食品 (インスタント食品やジュース) ●食塩 ●カフェインを多く含む食品 (コーヒー、紅茶) ●アルコール |
骨粗鬆財団によると、リンはカルシウムの吸収を阻害するといわれており、カフェイン・アルコールは利尿作用があるためカルシウムを排出してしまうとしています。
いずれも少量であれば問題ありませんが、過剰摂取は避けるようにしましょう。
まとめ
「背中が曲がる」という状態には多くのデメリットがありますが、変形が進行するまでの間は、日常生活の改善や運動を継続することによって、良い姿勢を維持することができます。
少し姿勢が気になっている、という方はまだ若いからと油断せず、日頃の生活習慣を見直していく必要があるでしょう。
いつまでも良い姿勢で生活していくために、できることから取り組んでいきましょう。
参考:
骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン 2015版(2018年2月9日引用)
骨粗鬆症財団 予防について(2018年2月9日引用)
たぬこ さん
2020年6月8日 12:18 PM
体操とっても効果がありました。ありがとうございました❗