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リハビリについて

腱板損傷の治療とリハビリの基本!治療期間や自分でできるトレーニング方法を解説

腱板損傷(けんばんそんしょう)は、よくみられる肩の疾患の一つで、スポーツをしている方や高齢者など幅広い年代で発症します。
「肩に力が入らない」「腕が上がらない」などの症状が特徴的で、なかには手術をされる方もいらっしゃいます。
今回は肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)の治療とリハビリについて解説していきます。
自宅でできるトレーニング方法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

そもそも「腱板」って何なの?腱板の機能と腱板損傷の概要

腱板損傷を知るために、まずは腱板の機能を理解しておきましょう。
腱板は肩関節にとって肩を安定させるという非常に重要な機能を持っています。

●腱板を構成する筋肉は4つ!機能は肩関節を安定させること

腱板を構成する筋肉は4つあり、それぞれ棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょっかきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)、小円筋(しょうえんきん)と呼ばれています。
よく聞く言葉に「インナーマッスル」というものがありますが、肩のインナーマッスルはこの腱板の筋肉のことです。
肩の関節は骨の形態上、不安定な構造をしており、肩を安定して動かすためにはこれら腱板の働きが必要になってきます。
腱板による安定性が得られなくなってしまうと、関節が不安定な動きになってしまい痛みや筋力低下につながってしまうのです。

●腱板損傷の原因は外傷だけではない?加齢や使い過ぎでも発症する恐れが

腱板損傷の発症要因は大半が打撲や転倒などの外傷によるものです。
しかし、腱板は加齢によって脆弱化(ぜいじゃくか)してくるといわれており、とくに棘上筋は構造上、摩耗や損傷が生じやすい部位になってきます。
40~50代になると棘上筋腱の血流量は減少し、断裂しやすくなるといわれています。

●こういう症状には要注意!腱板損傷のサイン

腱板損傷の症状には、

  1. 1)痛み(肩を上げる動作の最初と最後は痛みがなく上げる途中で痛む、夜間時・運動時に痛む)
  2. 2)腕に力が入らない(保持できない)
  3. 3)肩を動かすと引っかかる(ゴリゴリと音がする場合もある)

などが挙げられます。
五十肩の症状と似ていますが、五十肩の場合は関節が固まって動きが制限されてしまうのですが、腱板損傷だけでは関節が固まることは多くありません。
しかし適切な治療をしなかった場合や損傷が大きい場合など、人によっては固まってしまうこともあるので注意しましょう。
なお、五十肩については次の記事(理学療法士が解説!!五十肩の治し方と予防のためのストレッチ方法)でも解説しているのでご参照ください。

リハビリ効果がない場合は手術も?!腱板損傷の治療

腱板損傷の治療は、手術をせずに行う治療法と手術療法の2つがあります。
多くの人は手術をしなくても改善していきますが、損傷程度が大きいケースやリハビリをしても改善しない場合は手術を選択することもあります。

●多くの人は手術しなくても軽快する!まずは投薬とリハビリで!

腱板損傷の手術をしない場合の治療法は安静、投薬、リハビリです。

1)安静

外傷による腱板損傷の受傷直後は、とても強い痛みや炎症がでることがあります。
また加齢によって損傷した方は、肩腱板を使いすぎている場合があります。
どちらの場合でも三角巾スリングなどを使用して安静を図り、負担を減らすことが重要です。

2)投薬

寝るときの痛みや動かすときの痛みに悩んでいる方は、痛み止めの薬を使用して痛みをコントロールしましょう。
痛みがあまりにも強い場合は、麻酔やヒアルロン酸などの注射を行う場合もあります。

●リハビリしても痛い!肩が上がらない!そんな場合は手術に…!

上述したように、リハビリをしても効果がなかったり、損傷が大きい場合は手術療法が選択されます。
最近では関節鏡(※)を使用した手術が増えてきており、1cm程切開したところから関節鏡を入れ、腱板を縫合していきます。
術後リハビリは、最初の数週間は装具で固定し、その後徐々に肩を動かす練習と筋力トレーニングを進めていくことになります。

※関節鏡:関節の中を見ながら治療が可能な内視鏡。器具は細く最小限の切開で治療ができるため、患者への負担が少ない。

腱板損傷のリハビリはどんなことをするの?自宅でできるトレーニングも紹介

手術をしない場合と、手術をした場合ではリハビリの進み方も違ってきます。
手術をしない場合は安静期を過ぎたあとは固定などもせず、可能な範囲で日常生活を過ごしますが、手術をした場合は固定期間や運動の制限があります。

●手術をしない場合のリハビリの原則は損傷の拡大防止、可動域の維持改善!

手術をしない場合のリハビリの目標は切れた腱板をつなげることではなく、日常生活で痛みなく肩が使えるようになることです。

1)腱板の筋力トレーニング

腱板のトレーニングは肩の機能を獲得するために重要です。
ゴムチューブや重錘(じゅうすい-重りのこと)を使用してトレーニングを実施しますが、ポイントは低負荷で行うことです。
強い負荷で行うと周りの大きい筋肉のトレーニングになってしまうため注意が必要です。

2)肩関節や肩甲骨の動きの獲得を!

肩の関節可動域に制限がある方や引っかかりがある方、筋肉の柔軟性が低下している場合はストレッチや可動域練習を行っていきます。
ポイントは肩甲骨の動きの改善、バランスよく筋肉の柔軟性を改善することです。
筆者の経験では、特に肩の後ろにある筋肉の柔軟性が低下していることが多く見られるため、この部分を重点的に行っています。

3)痛みのコントロールをするための姿勢や日常生活の指導

寝るときの痛みが強い場合は、横向きに寝たり腕の下にクッションを入れたりして、少しでも痛みが楽になる姿勢で寝るようにしましょう

●手術の場合は再断裂に注意しながら徐々に機能改善を!

手術を行った場合は縫合した腱板が再断裂しないように、注意深くリハビリを進めていく必要があります。
細かい流れは病院によって違いがありますので、ここでは大まかな流れを説明していきます。

1)まずは装具で一定期間固定

この時期は術後の炎症を抑えることと、手術した部分にストレスが加わらないようにするために装具で固定します。
無理に動かしてしまうと再断裂のリスクがあり、病院によっては三週間ほど肩を動かさないようにします。
この時期のリハビリの目的は肩以外の関節可動域の維持や、痛みによって緊張が高くなった筋肉をほぐすこと、癒着(ゆちゃく)の予防になってきます。

2)他動から徐々に始めて、少しずつ自分の力で動かしていこう

装具の固定期間が終わったら、肩を少しずつ動かしていくようにします。
まずは自分の力ではなく、ほかの人の力で動かしてもらう運動から始め、徐々に自分の力で動かしていくようにします。
すぐに可動域が改善するわけではないので地道な努力が必要になりますが、決して痛みを我慢しすぎないようにしましょう。
ある程度の痛みはつきものですが、あまり我慢しすぎると筋肉に力が入ってしまうので注意が必要です。

3)腱板のトレーニングから徐々に肩全体の筋力アップへ

病院にもよりますが、だいたい2カ月から3カ月以降にカフトレーニングといって腱板の筋肉の強化が許可されます。
強化といっても、上述したように基本は低負荷で行います。
これが順調に進めば、三角筋(さんかくきん)と呼ばれる大きな筋肉のトレーニングへと進めることができます。

このように、腱板損傷の手術後のリハビリはゆっくり進んでいきます。
事務仕事などであれば早めに復帰することも可能ですが、力仕事やスポーツなどを行う場合には、復帰までに半年近くかかると考えておいた方がいいと思われます。

●自宅でもできるトレーニングを紹介!

自宅でもできる運動をいくつか紹介していきます。
手術をしたあとの方は、主治医か担当の理学療法士にいつから運動を行ってもよいか聞いてから始めましょう。

1)肩甲骨のトレーニング

肩の動きをよくするには肩甲骨の動きが重要です。
肩甲骨の動きが悪いままだと肩の動きも改善されにくいだけでなく、腱板にもストレスが加わりやすくなってしまいます。肩甲骨のトレーニングには以下のような動きが有効です。

  • ○肩をすくめる(肩を上げるイメージ)
  • ○肩甲骨を寄せる(胸をはるイメージ)
  • ○肩甲骨を丸める(背中を丸めるイメージ)

肩甲骨の運動は比較的炎症の強い時期から行うことができます。

2)肩の可動域練習

次は肩を動かしていく運動です。

○振り子運動

立った状態で上体を前に倒し、痛いほうの手を重力に任せて下に垂らし、反対の手は机や台に置いて楽な姿勢をとります。
そのまま体を前後左右に振って腕を揺らし肩の関節可動域を広げていきます。
あくまでも腕は重力に任せて垂らしているだけで、無理に腕を動かそうとしないようします。
ほかにも、あおむけになり反対の手で介助しながら腕を上げていく練習も効果的です。
そうすると無理なく肩関節を動かすことができます。

3)腱板トレーニング

腱板のトレーニングは病院ではゴムチューブを使用する運動を指導されると思いますが、今回はゴムチューブ以外の方法を紹介します。

○重錘を利用したトレーニング

あおむけで500グラム程度のペットボトルを持ち、腕を90°持ち上げ小さな円を描くように動かします。

○うちわ(下敷きなど)を利用したトレーニング

肘を90°にして手にうちわを持ち、扇ぐように動かします。
肘の位置が動かないようにすることがポイントです。

両者とも寝たままで実施できる簡単なトレーニングなので、コツコツ続けて腱板を鍛えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は腱板損傷の治療とリハビリについて解説しました。
腱板は肩のインナーマッスルで、肩関節を安定させるという重要な役割をもっています。
腱板損傷になっても必ず手術になるというわけではなく、リハビリで症状が軽快していく方も多いですが、手術をした場合は治療期間が長期化する可能性があるため、主治医の指示に従って地道にリハビリを続けていきましょう。

参考:
日本整形外科学会 肩腱板断裂(2018年3月4日引用)
鶴見隆正:骨・関節系理学療法実践マニュアル 第1版.文光堂,2006,pp.296~304.

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