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【急性期編】突然の発症にびっくり!脳卒中の急性期症状とリハビリテーションの重要性

突然起こる脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患を脳卒中と呼んでいます。
厚生労働省が発表した統計によると、2014年度の脳血管疾患の総患者数は117万9,000人おり、介護が必要になる原因の第一位になっています。
今回は、脳卒中発症早期からのリハビリテーション(以下リハビリ)について詳しくお伝えします。

脳卒中(生活習慣病)は突然やってくる

脳卒中は脳血管にまつわる病気の総称!どんな病気?

脳卒中は脳内の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血)することで起こる病気の総称です。
脳の血管が詰まる原因にもさまざまなものがあり、コレステロールの塊や動脈硬化によって血管が詰まるもの、心臓などほかの臓器から血の塊が流れて脳内で詰まるものなど、その原因や起こり方により3つに分類されます。

1)脳卒の危険因子と全国調査の結果からわかること

原因は高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、不整脈、年齢など

脳卒中は生活習慣病の一つで、脳卒中の危険因子(脳卒中を発生させる危険性が高い病気や事柄など)は高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、不整脈、年齢などがあります。
厚生労働省による2016年発表の統計では、脳卒中は男女の差がなく起こり、2016年の患者数は117万9,000人と発表されています。
また脳血管疾患による死亡者は、11万1927人で全体の8.7%に及び、死因の第4位に相当します。

2)脳卒中は脳の血管にまつわる病気。脳梗塞は3種類!

脳卒中は脳の血管にまつわる病気

脳卒中はさまざまな病気の総称です。
大きくは脳出血と脳梗塞に分けられますが、脳出血は発症する場所により2種類、脳梗塞も発症するメカニズムによって3種類に分けられます。

脳卒中 脳の血管が
破れる
脳出血
脳出血 脳の血管が何らかの理由で破れ、脳の内部で出血を起こします。
くも膜下出血 一般的に脳の動脈にできたこぶが破裂して起き、脳全体を包むくも膜という膜の下(くも膜下腔)に出血します。
脳の血管が
詰まる
脳梗塞
ラクナ梗塞 高血圧や脂質異常症(高コレステロール症)、糖尿病などによって脳の細かい血管が詰まってしまうことで起こります。
心原性
脳塞栓症
心臓でできた血栓(血の塊)が動脈を通って運ばれ、脳の血管を塞いでしまうことで起こります。
アテローム
血栓性脳梗塞
動脈硬化やコレステロールの蓄積によって血管の内側が狭くなったところに、血栓(血の塊)が血管をふさいでしまうことで起こります。

このように脳卒中は「起こる場所」「原因」「出血なのか梗塞なのか」により名称が異なりますが、脳の機能障害はダメージを受けた部位によって決定されます。

脳卒中の急性期症状は、手足の麻痺だけではない!脳のダメージは命を脅かすことも!

脳卒中の症状というと手足の麻痺などが代表的ですが、実はほかにもたくさんの症状があります。

1)脳卒中は突然起こる!こんな症状が現れたらすぐに病院へ!脳卒中初期の徴候とは?

脳卒中は突然の発症が特徴的な要素の一つです。
一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれるものがあり、これは脳梗塞の症状(ろれつが回らない、手足の麻痺など)が現れて、24時間以内に収まるものです。
TIAは、その後に脳梗塞を引き起こす徴候とも捉えることができます。
発症早期の脳卒中を見分ける徴候として、頭文字をとり“FAST”と呼ばれるものがあります。
以下でご紹介していきます。

  • ●「F:Face」顔相が左右非対称かどうか、水が口角から漏れずに飲めるかなどを見極めましょう。
  • ●「A:Arm」両腕を前にあげ手のひらを上に向け、大きく前にならえの姿勢を保ちます。
    手のひらを上に向けた状態を保てず、腕が下がってきたりすると麻痺が疑われます。
  • ●「S:Speech」話がよくわからない、理解できないという失語やパピプペポがうまく言えないなどの構音障害と呼ばれる障害があらわれます。
  • ●「T:Time」 先ほどの3つの徴候のうち一つでもあてはまれば脳梗塞が疑われるため、いち早く医療機関への受診が必要となります。

2)脳卒中の急性期症状は意識がもうろうとしたり、呼吸が止まることも

脳卒中の症状は実にさまざまで、大脳と呼ばれる部分がダメージを受けると手足の運動麻痺や感覚障害、ろれつが回らない、言葉がでないなどの失語症、認知症、高次脳機能障害(右もしくは左側の空間が認識できない視空間無視など)などがあります。
中脳や小脳など大脳以外の部分にダメージを受けることもあり、その部位によって、物が二つに見える複視、バランス感覚の障害である運動失調、重度の意識障害、呼吸抑制などの症状がみられます。

脳卒中急性期にもリハビリは欠かせない!その内容と重要性

24−48時間以内にリハビリ開始を

脳卒中リハビリのガイドライン(治療指針)では、発症早期24−48時間以内にリハビリを始めることを推奨しています。
そうすることで、寝たきり(筋力や体力の低下)を防ぎ、自立歩行の再獲得率も高くなるため、自宅復帰できる方も多くなります。

1)脳卒中早期リハビリの効果とその重要性

脳卒中リハビリにおいて、日常生活動作を獲得する際に大きな妨げとなるものは、なにも機能障害である運動麻痺や感覚障害だけではありません。
廃用性症候群(安静期間が長引くことによって起こる筋力や体力の低下)が影響して、起き上がりや立ち上がり、歩行などの再獲得に時間を要することもあるのです。
そのため、できる限り発症後早期からリハビリを行い、体力や筋力の低下が起こらないように努めることが大切です。
ただし、脳卒中の直後は一般的に安静にしなければならない時期であるため、やみくもに動かすのは危険であることは留意すべきでしょう。

2)具体的な脳卒中急性期のリハビリとは?

急性期のリハビリは、重度の意識障害、呼吸機能不全、その他生命に危険を及ぼすような症状があればベッド上での安静が必要ですが、発症直後である急性期のすべてに安静が必要なわけではありません。
脳卒中の程度やその障害の重症度によって大きく異なります。
以下では、急性期に行う具体的なリハビリについてご紹介します。

●関節可動域訓練

麻痺を起こした手足など、関節が動かせる範囲(可動域)が狭くなってしまわないように行います。

●全身調整訓練

日中横になっている時間が多くなると、起き上がった際に血圧降下、脈拍数の増加などを引き起こすことがあるため、血圧や脈拍、またご本人の疲れ具合などを見ながら、座る・立つ・歩くなどの動作を行います。

●嚥下訓練

脳にダメージを受けた場所により、食べ物を飲み込むなどの嚥下機能に障害をもたらす場合もあります。
低下した機能を回復させるために、かむことや飲み込むことを意識しながら、嚥下訓練を行います。

●日常生活動作訓練(以下ADL訓練)

麻痺や脳梗塞の程度にもよりますが、日常生活における、寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行・階段昇降など日常生活に必要な動作を再獲得するための訓練です。

●家族への指導

特にADL動作においては、少し手伝ってもらうことで可能になる動作もあります。
そのような場合には、ご家族への介助指導などを行い、退院に向けての調整をします。

このように、発症直後は血圧や脈拍などを測りながら、麻痺の評価、ベッドを起こして座る、または車椅子へ座るなどのベッド周りでの生活動作から行うリハビリから進めていきます。

まとめ

脳卒中はそのタイプや原因、起こった場所によって名称が異なります。
脳卒中の急性期と聞くと「安静にしておかないと」と思いがちですが、ただ寝ていればいいというわけではなく、できるだけ早期からリハビリを行い、体力や筋力の低下を抑えながら機能回復を目指すことも大切です。

脳卒中リハビリテーション【回復期編】はこちら(脳卒中の症状とリハビリテーション 家族が知っておきたいポイントを解説)

参考:
日本生活習慣病予防協会 厚生労働省(2018年2月16日引用)
脳卒中リハビリテーションガイドライン 急性期リハビリテーション(2018年2月16日引用)
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス 脳卒中とは(2018年2月16日引用)
脳卒中治療ガイドライン2009(2018年2月16日引用)
脳卒中治療ガイドライン 急性期リハビリテーション(2018年2月16日引用)

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