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脳の病気

【回復期編】脳卒中の症状とリハビリテーション 家族が知っておきたいポイントを解説

脳卒中のリハビリテーション(以下リハビリ)には、長期的な訓練が必要です。
急性期の集中的な治療が終わり、本格的な日常生活動作のリハビリが行われるのがこの回復期リハビリです。
前回の【急性期編】に続き、今回は回復期のリハビリについて詳しくお伝えします。

【急性期編】はこちら(突然の発症にびっくり!脳卒中の急性期症状とリハビリテーションの重要性)

リハビリと。家族と。

脳卒中の「回復期」はいつから?

脳卒中のリハビリ

脳卒中のリハビリは、脳のダメージによって起こる機能障害にアプローチし、日常生活動作を再獲得することを主な目的としています。
ダメージを受けた脳は、ほとんどの場合完全に元に戻ることはありませんが、引き起こされた機能障害に対するリハビリを行うことで、脳内で新たな回路が形成され、機能を取り戻すことができる場合があります。

1)急性期はいつまで?脳卒中の回復期はリハビリが治療の中心!

脳卒中リハビリにおいての急性期とは、
「発症後ベッドから起き上がり、ある程度の時間車椅子に乗ることができる状態」
つまり、本格的に日常動作の訓練が可能となるまでの時期とされています。
また、保険の観点でいえば、脳卒中後のリハビリに対する医療保険点数の算定が可能となるのは発症後150日以内となっており、回復期リハビリを実施するのもだいたいそのぐらいまでの期間と考えると良いでしょう。
ただし脳へのダメージの程度、麻痺の程度、種類(いずれも脳卒中に起因するもの)によっても、必要となる回復期リハビリの期間は異なります。
血圧や栄養状態などの全身状態が落ち着いたあとの脳卒中患者さんにとって、日常生活動作の自立は自宅復帰への可能性を左右するため、回復期リハビリはとても大切になってきます。

2)脳卒中後の回復はどのぐらいまで望める?

脳卒中による麻痺などの機能障害がどこまで回復するのか、リハビリをすることで元通りになるのかというのは、患者さん本人やご家族にとって心配な点の一つです。
脳出血の急性期では、患部の周辺組織が出血によって圧迫されたり、その先の血管に血液が行かなかったり、また脳梗塞の場合には、血管が詰まったその先の脳に血液の供給ができないなどで、脳の機能が働かなくなります。
こうした原因から起こる脳の腫れや血流を改善するために、脳卒中の急性期には脳の腫れを抑える点滴をしたり、血圧のコントロールや脱水予防などが行われ、脳の機能回復を図ります。
しかし、急性期を過ぎたあとは脳の機能回復もゆっくりになり、回復期では麻痺の回復を促すような訓練と、残された機能での日常生活動作の再獲得の2つの要素に対してのリハビリを行うようになります。
発症直後の状況や脳のダメージの程度により、回復期リハビリに必要な期間や、日常生活動作がどの程度再獲得できるのかが決まるため、どのぐらいの回復が望めるのかは断定できないのが現状です。
麻痺などの症状は完全に元に戻らない場合もありますが、リハビリで機能が改善される部分もあるため、ぜひ積極的に取り組んでみてください。

脳卒中回復期の過ごし方とリハビリ

脳卒中回復期の過ごし方とリハビリ

脳卒中回復期には全身状態(血圧やその他の医療が必要な状態)は落ち着き、いかに寝たきりを防いで、筋力や体力を落とさないかが大切です。
この時期には急性期病院などから回復期のリハビリ病院へ転院される方もいます。
脳卒中回復期にはどのように過ごすとよいのでしょうか。

1)回復期では最重要!ベッド上で過ごす時間はできるだけ短く

脳卒中の回復期には、集中的な生活リハビリが必要となります。
たとえば、
「訓練室でのリハビリの時間以外はずっとベッド上で過ごしている」
という状態では体力の維持も難しくなりますが、訓練室だけではなく病院のベッドの周りや病棟などでも繰り返し行うようにすれば、日常生活動作の再獲得が可能になります。
リハビリの訓練中にのみ車椅子に乗って、訓練室で訓練するということは極力避け、通常の生活と同じく朝起きたらベッドから離れて日常生活を送ることが大切です。

2)具体的な脳卒中回復期のリハビリはコレだ!

脳卒中のリハビリは、麻痺に対するリハビリと寝たきり予防、また麻痺を抱えた状態での日常生活動作の再獲得が中心となります。
具体的な訓練とその目標を表にまとめてみました。

実施するリハビリ 目 的
関節可動域訓練 関節拘縮の予防と関節可動域の改善
嚥下訓練 急性期に引き続いた嚥下機能の改善
セルフケアの練習 衣服の着脱・整容・食事など身の回り動作の獲得
コミュニケーション訓練 失語症や構音障害などが生じた場合、コミュニケーション能力の獲得を目指す
動作練習 起き上がりや立ち上がりといった動作、歩行・階段昇降など、実際の生活場面をイメージした動作の獲得

上記のような目的で多角的にリハビリを実施し、可能な限り自立した状態での自宅復帰を目指します。

家族が脳卒中になったら?家族が知りたい注意点と対応策

家族が脳卒中になると、そのご家族にもさまざまな問題が生じます。
脳卒中は起きた場所によって、生命の危機にさらされる方、大きな障がいが残り介助が必要になる方、また元どおりの生活が送れるようになる方と、その度合いはそれぞれ違います。
つまり、脳のダメージの大きさと場所によって機能障害の程度も変わり、それはご家族の今後の生活にも直結してくるといえるのです。

1)ご家族にも突然の出来事 訓練場面を見て一緒に障害を理解しよう

自宅復帰が可能であるかは、患者さん本人の機能障害や日常生活動作レベルにもよりますが、もう一つ重要なのがご家族の協力がどの程度望めるかということです。
脳卒中は突然発症する病気ですので、ご本人だけでなくご家族の受け入れにも時間がかかります。
そんなときはぜひ訓練場面などをご覧になってください。
まずは簡単なものから手伝ってみることで、自宅復帰に向けての準備や介助方法などを知っていただけるいい機会になると思います。

2)患者さんに合わせて、自宅の改修が必要な場合も

機能障害の程度により、自宅の居室や浴室の改修が必要な場合があります。
そのまま帰ることは難しくても、手すりやスロープ、ベッドなどを取り付けること(物的な介助)で、自宅復帰が可能となるケースも多いです。
住宅改修を希望する場合は、介護保険の利用やリハビリスタッフによる評価などを受けると良いでしょう。
病院や居宅介護支援事業所などに相談すれば、福祉制度を熟知したソーシャルワーカーやケアマネジャーなどが対応してくれます

3)状態に合わせて在宅介護やデイケアなどを利用する

ご本人の自宅復帰が可能になっても介助が必要になるなど、機能障害を抱えての自宅生活に不安を感じるご家族もいます。
しかし、ヘルパーや訪問リハビリなどを利用することにより、介護量の軽減を図ることはできます。
また、デイケアなどの通所リハビリテーションで体を動かすリハビリを行うことで、日常生活動作の維持や改善なども期待できますので、不安なことがあればケアマネジャーさんなどに相談してみましょう。

まとめ

脳卒中回復期ではリハビリが治療の中心です。
自宅復帰を目指す患者さん本人やご家族には、退院後の生活を想定した訓練が必要になります。
回復期は病状自体も落ち着き、まずはベッド上の生活から脱するよう目指すことが大切です。
そしてご家族にとって回復期は、退院後の生活や福祉制度の利用などを考えておく必要がある時期といえます。

参考:

鶴巻温泉病院 回復期リハビリテーション(2018年2月20日引用)
国立循環器病研究センター 脳梗塞が起こったら(2018年2月20日引用)
国立循環器病研究センター 脳卒中のリハビリテーション(2018年2月20日引用)
脳卒中治療ガイドライン2015 (2018年2月20日引用)
中医協 疾患別リハビリテーション(2018年2月20日引用)

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