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リハビリについて

リハビリテーションとは?理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の違いと役割をわかりやすく解説!

「リハビリ」という言葉を、耳にしたことのある方も多いでしょう。
一般的にリハビリというと、筋力をつける運動をしたり、関節の動きを改善したりするというイメージの方が多いと思います。
ひと言でリハビリといっても、実はいくつかの種類に分類されるのです。
リハビリ職として勤務した経験を持つ筆者が、「リハビリとはなにか」を簡単にわかりやすくお伝えしていきます。

「リハビリ」とは簡単にいうとどういう意味?その目的は?

多くの場合は「リハビリ」という略称で呼ばれますが、正しくは「リハビリテーション(rehabilitation)」といいます。
リハビリテーションとはなにか?を考えるときに語源に注目してみると、本質的な意味や目的をとらえることができます。
リハビリとは本来なにを目指すものなのか、基本となる考え方をあらためてお伝えしていきます。

●語源から考える「リハビリテーション」の意味と目的

リハビリテーションという言葉の語源は、「re(再び)」+「habilis(適した)」という2つのラテン語がベースになっています。

つまり、病気やけがなどで障害を抱えてしまった方が、再びその人らしい生活を取り戻し、豊かな人生を送ることができるように支援していくことをリハビリテーションといいます。

たとえば、脳卒中などで片手が不自由になってしまった方が、自分で歩いたり、食事をすることができるようにアプローチし、再び自分らしさをとり戻すことを目標とします。
このように、「失った機能を再びとり戻す」という意味合いで、リハビリという言葉が用いられるのです。
しかし、生まれつきの病気を持った子どもが対象になるときは、再びとり戻すのではなく、発達を支援するということに着眼点が置かれます。
厳密に区別されないことも多いですが、子どもを対象としたリハビリでは、あえて「re(再び)」の部分を除いて「ハビリテーション」と呼ぶ人もいます。

●リハビリを受けるにはどんな方法があるの?

リハビリを受ける方法は、利用する保険制度や疾患の種類などによっていくつかの選択肢があります。
大きくは医療保険で受けるリハビリと、介護保険で受けるリハビリに分類されます。
医療保険のリハビリは病院で受けることが多く、介護保険のリハビリでは実施場所も施設や自宅などさまざまです。

1)病院で受けるリハビリ(医療保険)

リハビリを受ける場所といえば、病院というイメージをお持ちの方は多いでしょう。
病院で受診したり、入院したりするときに、医師が必要と判断すればリハビリが処方されます
医師が薬をだすときに「処方する」といいますが、リハビリに関しても同様に「処方」という言葉が用いられます。
病院のなかにあるリハビリ室で実施したり、起き上がるのが難しい方ではベッド上での訓練を行うこともあります。
整形外科や脳神経外科などではリハビリのニーズが大きいため、スタッフの数も多いですが、精神科などの診療科にもリハビリ職が在籍していることはあります。
多くの場合、医療保険で受けるリハビリは、病院で受けるものとイメージしておいて良いでしょう。
ただし、在宅療養中の方で、パーキンソン病や脊髄小脳変性症など厚生労働大臣が定める疾病に該当する場合には、医療保険を使って自宅でのリハビリ(訪問リハビリ)を受けることも可能です。

2)介護施設や自宅で受けるリハビリ(介護保険)

65歳以上の高齢者で要介護認定されている場合、介護保険を使ってリハビリを受けることになります。
要介護度に応じて受けることができるサービスには上限があるので、リハビリだけでなく、ヘルパー(訪問介護員)の利用なども含め、どんなサービスを使うか検討していきます。
実際に利用するサービスについては、ケアマネジャーなどと相談して決定します。
介護老人保健施設(老健)といった介護施設でも、リハビリの職員が在籍しています。
介護保険では、デイサービスで通所リハビリを受けたり、スタッフが自宅にきてくれる訪問リハビリを受けたりと、さまざまな選択肢があります。
介護施設やデイサービスの場合は、施設によってリハビリスタッフの数や内容(個別・集団)にも違いがあるので、気になる方は確認しておくことをおすすめします。

知っているようで意外と知らない!?リハビリの種類は大きく3つ

リハビリテーションを実施する人のことをセラピスト(治療者)といい、セラピストは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つに大別されます。
名称が長いこともあり、医療・福祉・介護業界では、次のような略称で呼ばれることも多いです。

資格 略称 英語表記
理学療法士 PT Physical Therapist
作業療法士 OT Occupational Therapist
言語聴覚士 ST Speech-Language-Hearing Therapist

略称については、PTは「ピーティー」、OTは「オーティー」、STは「エスティー」とそのままアルファベットで読むことができ、いずれも英語表記の頭文字をとっています。
PT・OT・STという略称は、スタッフ同士での連絡時にも使用しますが、リハビリを受けることに慣れている患者さん・利用者さんでもそのように呼んでいる方はいます。
筆者の担当患者さんのなかには、カレンダーや手帳などに「3月20日 PT」といったように予定をメモしている方もいましたし、口頭で「明日のリハビリはOTだよね?」と確認される方もいました。
ただ、リハビリを受けている方でも「リハビリの先生」ということで3つの職種をまとめて認識しているケースも少なくありません。
特に、理学療法士と作業療法士の違いについて、自信を持って答えられる方は少ないでしょう。
資格の種類によって、リハビリの内容がどう変わるのか、次の表に簡単に整理していきます。

資格 リハビリの内容
理学療法士 物理的手段(運動・電気・温熱など)を用いて治療する。
作業療法士 作業活動(生活上のさまざまな行為)を用いて治療する。
言語聴覚士 話す・聞く・食べる・表現することの障害に対して治療する。

上の表にあるように、リハビリに関わる資格の種類によって、そのアプローチ方法は異なります。
理学療法士は「物理的手段」を使って関わりますが、作業療法士は「作業活動」を使ってリハビリを進めていくというのが基本的な考え方です。
また、言語聴覚士は話す・聞くなど口や耳に関わることを中心に介入していきます。
「リハビリ」の語源・意味でもご紹介したように、最終的には「その人らしい生活をとり戻すことがゴール」であることは共通していますが、各職種でアプローチの視点は少しずつ異なっているのです。

【理学療法士編】理学療法では主に「運動療法」と「物理療法」を行う

先にご紹介したように、理学療法士は「物理的手段」を用いてリハビリを展開します。
理学療法ではどのような方が対象となり、どんなリハビリを行っていくのか、詳しく解説していきます。

●理学療法の対象となるのはどんな人?

理学療法の適応になる方は幅広く、骨折・スポーツ障害など整形外科の疾患をはじめとして、脳卒中・呼吸器疾患・心疾患・がんなどさまざまな病気のリハビリも対象になります。
筋肉や関節の障害はもちろんのこと、心臓や肺などの状態も含み、身体機能の維持や増進の目的で「物理的手段」を使って関わる必要があれば、理学療法が実施されます。
理学療法士は病院や介護施設で働くことが多いですが、なかにはスポーツチームやオリンピック選手のトレーナーになったり、行政機関で介護予防に貢献したりする人もいます。

●理学療法で用いる治療法

理学療法では「物理的手段」を用いて治療していくことが特徴ですが、これは具体的にどんなものを指すのでしょうか?
理学療法士が用いる治療法では、大きく分けて「運動療法」と「物理療法」の2つがあるので、それぞれの内容を確認してみましょう。

1)運動療法

運動療法とは、「運動」によって身体機能を回復させる治療法です。
運動によって体の機能回復を目指すことから、「機能訓練」ともいわれます。
目的に合わせて体を動かすことによって、関節の可動域が維持・改善されたり、筋力が強くなったりといった、さまざまな効果が期待できます。
運動療法の例としては、関節可動域訓練、筋力トレーニング、立ち上がり練習・歩行練習、持久力増強訓練などが挙げられます。
理学療法では「評価」といわれる工程があり、観察や検査によって体の状態を詳しく分析していきます。
評価で得られた結果に基づき、その方が必要とする運動を見極め、適切な量と質で提供していくところに理学療法士の専門性が発揮されます。

2)物理療法

物理療法では、温熱に使うホットパック、超音波や低周波を発生させるリハビリ機器などを使用します。
熱・電気・光といった「物理的なエネルギー」を与えることで、血流を改善させたり、筋の緊張・痛みを軽減したりする効果が期待できます。
首や腰の骨にかかる圧を下げるために牽引(けんいん)することや、筋肉の血流を改善するためにマッサージをすることも、物理療法に含まれます。
いずれも「物理的手段」を使って治療しているという点で共通しています。

理学療法では、運動を含めた物理的な力を活用してリハビリを進めていくということが前提となります。
理学療法士のリハビリでは、立つ・歩くなど直接的な動作の練習を進めていくというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、こちらも運動療法のなかで物理的に介入しているということになります。
理学療法・理学療法士についてもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事(理学療法士は立つ・歩く練習の専門家!?気になる仕事内容や活躍する分野についてご紹介します!)でも解説しています。

【作業療法士編】生活において必要なこと・したいことにアプローチ

作業療法士は、理学療法士とくらべて、リハビリの内容・目的・特徴などが理解されにくい職業です。
先にもご紹介したように、作業療法では「作業活動」を使ってリハビリを行っていきますが、そもそもここでいう「作業」とはどのようなものであるかを確認する必要があります。
作業療法の考え方をわかりやすくお伝えしていきます。

●作業療法の対象となるのはどんな人?

作業療法は、身体障害・老年期障害・精神障害・発達障害の大きく4つの領域を対象としています。
いずれの領域でも、その方の「生活」に焦点を当てることは共通しています。
身体障害では、脳卒中による片麻痺によって料理や入浴が難しい、整形外科疾患があって家事のときにうまく手を使えないなど、「生活動作」に課題を抱えている人が対象となります。
老年期障害では、高齢者の心と体を健康に保つためのリハビリを提供します。
また、作業療法では身体機能には障害がなくても、生活上になんらかのニーズがあれば介入していくことになるため、精神障害や発達障害も対象となります。
簡単にいうと、理学療法では「身体機能」に着目するのに対し、作業療法ではその人が「生活」において必要なこと・したいことを扱う点が特徴といえます。

●作業療法で用いる治療法

作業療法では、さまざまな「作業活動」を使ってリハビリを行っていきます。
作業とは、食事や買い物、洗濯など日常生活の基盤となるものから、外出・仕事・コミュニケーション・運動・手工芸などさまざまなものを指します。
つまり、生活に関わるあらゆる活動を「作業」として位置づけ、これらを活用しながらリハビリを行っていきます

1)身体障害・老年期障害

身体機能に障がいを抱えている方では、実際に近い状況で着替えや食事などの動作を練習することも多いです。
そうした動作の獲得に必要であれば、筋力やバランスのトレーニングなど基本的な訓練を行う例もあります。
実際の生活場面を想定してリハビリを進めることが大切になるので、住宅の調査(家屋調査)に行って在宅復帰後の課題を整理したり、必要な福祉用具の検討も行います
認知症のある方では、記憶を思い出すための手がかり(メモ・カレンダーなど)の利用を定着させたり、認知機能のトレーニングをすることもありますが、これもリハビリの一環です。

2)精神障害

うつ病や統合失調症などの精神疾患がある方では、どうすれば自信・集中力・コミュニケーション能力・就労能力などをとり戻すことができるのかを考えながらリハビリをしていきます。
実際のリハビリ内容は多様で、不安が強い方や生活リズムが乱れている方では、まず集団活動の場に「参加する」ということ自体がリハビリになる人もいます。
手工芸などの活動をとおして集中力を鍛えることや、スタッフと外出の練習をして社会性を養うこともリハビリとして位置づけられます。
精神科では、複数の人で活動にとり組むことによる相互作用も治療に役立つため、集団で作業療法を実施するケースが多いです。

3)発達障害

発達障がいの子どもでは、運動が不器用、学習が遅れている、友達とコミュニケーションがとれない、落ち着きがないなど、さまざまなニーズがあります。
こうした課題を解決するために、遊びをベースにして、そこに目標をマッチする要素をとり入れながら介入していきます。
できる運動を増やして自信を持ったり、友達とのやりとりを学んだり、学習のつまずきの背景要因を考えてトレーニングしたりなど、多種多様な関わりをしていきます。

上記はほんの一例であり、その人の「生活」というものを扱う以上、実際のニーズには多様性があります。
作業療法士は決まったメニューでリハビリをするというより、その方が必要とするアプローチを個別に考えて実践していくため、「アイディア」も大切になります。
作業療法士は患者さん・利用者さんの「したいこと」や「必要なこと」の実現にやりがいを感じているので、リハビリを受けるときには抱えているニーズについて遠慮なくお話してみてください
作業療法士・作業療法については、こちらの記事(作業療法士とは?「作業」を使って生活を変えるリハビリの専門家|作業療法の目的や種類を解説)でも解説しているので、実際の対象疾患・作業療法を受けられる場所などについて知りたい方はご一読ください。

【言語聴覚士編】話す・聞く・食べるためのリハビリを提供

リハビリに従事する職種で、忘れてはならないのが言語聴覚士です。
理学療法士や作業療法士にくらべると数は少ないですが、専門性を発揮してリハビリに貢献しています。

●言語聴覚療法の対象となるのはどんな人?

言語聴覚療法では、「話す・聞く・食べる」といったことに障がいを抱える人を対象としてリハビリを提供していきます。
たとえば、脳卒中や寝たきりによって食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)に障害を抱えている方、口腔がんの手術を行った方、言葉に関する発達の障がいがある方などを対象とします。
言語聴覚療法のリハビリでは、こうした方々に対して訓練・指導・アドバイスなどを行います。

●言語聴覚療法で用いる治療法


話すことに障がいがある方に対しては、口の動きを良くする運動を行うなど、構音訓練や発声発話訓練と呼ばれるものを実施します。
言語聴覚士は口唇・舌・咽頭などの動き・構造に精通しているため、どうすれば話すことができるのかを考えながら訓練を行っていきます。
高次脳機能障がいによって失語症などがある方では、絵カードや文字などの手がかりを使用して、言葉を引きだすアプローチを行うこともあります。
食事では、肺に食べ物や飲み物が入ってしまう誤嚥(ごえん)が起きないよう、食事中の姿勢や食べ方、食事の形態などについて指導を行います。
言葉やコミュニケーションの発達に課題がある子どもでは、「◯◯をとってください」「それはどんなもの?」など言葉を使ったやりとりの練習をすることもあります。
言語聴覚士・言語聴覚療法については、こちらの記事(ST(言語聴覚士)が行うリハビリはことばや嚥下機能のトレーニング)でもご紹介しています。

まとめ

今回は、正しく理解するのが意外と難しい、3つのリハビリ職種についてご紹介しました。
リハビリに関わる職種の違いを簡単にまとめると、理学療法士は身体機能、作業療法士は生活、言語聴覚士は話す・聞く・食べるリハビリの専門家ということになります。
実際の現場では、医師や看護師などほかの医療従事者と連携をとりながら、「その人らしい生活」を実現するために尽力しています。
病気や障害に直面すると、誰しも暗い気持ちになり、ふさぎ込んでしまうものです。
それらの問題を解決するために、親身に寄り添い、明るい未来を目指していく。
そんな仕事をしていくのが、リハビリに従事するスタッフの役割といえます。

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