ロコモティブシンドロームを予防しよう!自宅でできる対策とリハビリ
ロコモティブシンドロームは日本語では運動器症候群と呼ばれています。
足や腰などの動きが弱くなるもので、さまざまな弊害を引き起こします。
ロコモティブシンドローム、またその対策と自宅でできる簡単なリハビリなどについてもお話ししていくことにしましょう。
目次
ロコモティブシンドロームは寝たきりや介護が必要となる直前の状態!
日本は超高齢化社会に突入し、運動不足から起こるロコモティブシンドロームと呼ばれる運動器(骨・関節・筋肉・神経など)の障害を表す比較的新しい概念が発表されました。
●ロコモティブは運動不足などから。
昨今では50代以降の運動器の障害による入院加療が必要となるケースが多く、関節疾患や骨折、加齢による老衰などが介護の対象として大きな割合を占めています。
運動器が障害を受けると、日常生活動作が困難となり自立の度合いが大きく低下します。
そのためリハビリや介護が必要となりやすい状態になります。
たとえば高齢者は運動不足が要因となり、足腰が弱くなると転倒などによる骨折を引き起こします。
それにより寝たきりになってしまうリスクが高くなります。
この様に足腰が弱くなっている状態をロコモティブシンドロームと呼んでいます。
●ロコモティブシンドロームはさまざまな病気が関連している。
運動器(骨・関節・筋肉・神経など)は身体の活動に大きく関わっています。
たとえば、脳梗塞などの脳血管障害により手足に麻痺が残る運動器の障害が起こると、身の回り動作などの日常生活動作に手助けが必要となります。
ロコモティブシンドロームは整形外科疾患だけでなく、中枢神経疾患など運動に関わるすべての疾患と関連しているといえます。
運動器全般に対するリハビリが重要な課題となります。
ロコモティブシンドロームが起こす弊害、予防の大切さを知ろう
なぜロコモティブシンドロームが起こるのか、新たに警鐘を鳴らされたのはどうしてなのでしょうか。
ロコモティブシンドロームにならないために重要なこととは何か?についてもお話ししていきます。
●平均寿命が長くなるとロコモティブシンドロームが増える?
高齢化社会を迎え平均寿命が長くなるに従い、体の機能を維持していく必要性が出て来ます。
高齢になるに従い、骨密度も減少し筋肉も弱くなってきて移動能力の低下が生じます。
加齢により椎間板や関節の軟骨はすり減り、運動不足による肥満は関節への負担を増大させます。
つまり運動不足や食習慣の乱れは、体力の衰えや肥満などを引き起こし加齢とともに運動器の障害、つまりロコモティブシンドロームの危険性が増大するのです。
●ロコモティブシンドロームの予防は健康習慣と適度な運動
骨や筋肉は10〜30代から機能が低下していきます。
中高年を過ぎてからの運動機能や骨、筋肉を維持するためには、ピークを迎える若いうちから食習慣、運動習慣について見直し、維持することが理想といえます。
しかし、歳をとってからでも不可能なわけではありません。
中高年を過ぎてからでも、軽い運動は筋力の維持、肥満の予防に役立ち、食生活もまた肥満予防と生活習慣病の予防などの効果があります。
ロコモティブシンドロームは予防しないと介護が必要な状況に陥ったり、日常生活動作に支障をきたします。
次にご紹介する自宅でできる簡単なものから始めてみてはいがかでしょうか。
ロコモティブシンドロームのチェックと自宅でできる運動リハビリ
ではどのような体の状態をロコモティブシンドロームと呼び、どのような対策をすればいいのでしょうか。
簡単にできるセルフチェックと、予防のための簡単なリハビリをご紹介します。
●ロコモティブシンドロームの7つのセルフチェックリスト
ロコモティブシンドロームかな?と疑わしいときには以下のチェックリストでセルフチェックをしてみましょう。
- 1)片足で立って靴下を履くことができない。
- 2)家の中でつまずく。
- 3)手すりがないと階段を登れない。
- 4)重労働の家事(布団の上げ下ろしなど)が困難である
- 5)重い買い物(5kg程度)をして持ち帰れない。
- 6)継続して15分間歩くことができない。
- 7)横断歩道を青信号の間に渡りきることができない。
これらの項目の中で一つでも当てはまるものがあれば、ロコモティブシンドロームの可能性が疑われます。
次にご紹介するリハビリなどを参考にして、運動機能を鍛えることが必要です。
また関節の痛みやひどいふらつき、症状の悪化がある場合には医師に相談しましょう。
●ロコモティブシンドローム予防のための自宅でできる簡単リハビリ!
ロコモティブシンドローム予防の自宅でも可能なリハビリについてここでご紹介することにしましょう。
1)片足立ち:1日3回程度、左右を1分ずつ行いましょう。
支えがない状態での片足立ちが困難な場合には机などに手をついて行い、手の支えをできるだけ少なくするようにしてみましょう。
2)スクワット:1日3回程度、ゆっくりと5~6回繰り返しましょう。
肩幅より少し広めに足を開いて立ち、膝がつま先より前に行かないようにゆっくりと腰を落としましょう。
スクワットが難しい場合には、椅子に腰をかけた状態からお尻を座面から浮かせるようにして立ち上がりの練習をしましょう。
机の上に手を置いて行うことから始めても構いません。
どちらの運動もご自分の体力に合わせ、転倒の危険性がある場合には必ず支えがある状態で行いましょう。
筋力が衰えないように継続したリハビリが重要です。
ロコモティブシンドローム予防のため、自宅でのリハビリを継続しよう!
高齢化社会に伴い、食生活や運動不足などの生活習慣病などはロコモティブシンドロームを引き起こし、介護の必要な方は増加の一途をたどります。
日常生活を快適に送る上でもロコモティブシンドロームの予防は重要であり、継続的な運動習慣や食習慣は大きく関わっています。
ご自宅でも可能なロコモティブシンドロームのセルフチェックやリハビリを利用し、予防につとめましょう。
参考:
公益社団法人日本整形外科学会 新概念「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」.
https://www.joa.or.jp/public/locomo/locomo_pamphlet_2015.pdf(2019年9月13日引用)
公益財団法人長寿科学振興財団 ロコモティブシンドロームとは.(2019年9月13日引用)
公益財団法人長寿科学振興財団 ロコモティブシンドロームの原因.(2019年9月13日引用)
-
執筆者
-
1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士