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よく聞くフレイルやサルコペニア、その違いについてわかりやすく解説します

加齢による筋力や体力の低下を予防することは重要であり、世間では「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」などさまざまな情報が飛び交っています。
しかし、これらの話題がメディアで報道されるたびに、今まで得た知識がこんがらがってしまうことはないでしょうか。
本記事では、これらの概念の違いについて分かりやすく解説し、元気な体を保つために必要な行動についてご紹介します。

フレイル サルコペニア ロコモってなんですか

サルコペニアとロコモは、フレイルにつながる要因と考えよう

まず最初に、これら3つの概念の違いについて簡単に説明します。

●サルコペニアは、ロコモにつながる原因の1つ

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念であり、日本語に直訳すると運動器症候群になります。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは

運動器とは、骨や関節、筋肉など、人間が動作を行う際に主軸となる器官のことを指します。
また、変形性関節症や骨粗しょう症など運動器自体の障害によるものもあれば、筋力やバランス能力の低下など、加齢による変化に起因することもあります。
そのため、ロコモとは「障害や加齢による影響で関節や筋肉の機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態」であるといえます。
一方のサルコペニアとは、加齢によって筋肉をつくる機能が低下し、体の筋肉量が減少することを指します。

サルコペニアとは

ロコモが骨や関節を含んでいることに対して、サルコペニアは筋肉量の減少のみに焦点を当てたものです。
つまり、サルコペニアはロコモを引き起こす1つの要因であると解釈するとよいでしょう。

●フレイルは、身体や精神機能の低下を含めた包括的な概念

ロコモとサルコペニアの違いについては前述しましたが、ここ最近広まっているフレイルという概念とはどう違うのでしょうか。
フレイルは直訳すると「虚弱」という意味で捉えられていますが、この虚弱の中にもさまざまな概念があります。
介護保険の等級認定では、介護が必要な状態を要介護、少しの支援が必要な状態を要支援とされています。
フレイルとは、簡単にいえば要介護状態になる手前の段階と認識されており、介護保険の要支援状態に近いといえます。

フレイルとは

フレイルとなる原因はさまざまで、身体機能の低下、精神機能の低下、社会交流の低下とおおきく3つのフレイルに分類されます
また、身体機能の障害によって満足に動けないこと、認知症や高齢者のうつなどの精神機能の低下により他者との交流が制限されるなど、3つそれぞれが関連しています。
つまり、サルコペニアやロコモは、フレイルの中でも身体的なフレイルにつながる要因であり、フレイルはこれら全てを包括した概念であるといえます

ロコモとフレイルはセルフチェックができる

ロコモとフレイルはセルフチェックができる

身体機能の低下に関するチェックシートが存在するため、ロコモやフレイルに関しては自己評価することが可能です。

●ロコモとフレイルのセルフチェック方法

ロコモの場合、日本整形外科学会が推奨している3つの評価法があり、そのどれか1つでも当てはまればロコモの可能性が高くなります。
これらの評価は、立ち上がり動作、歩幅の測定、25個の質問といった簡便なものであり、自宅でも行えることが特徴的です。
フレイルの診断によく使われるFried(フレイド)のチェックシートでは、歩行速度や体重の減少、活動量の減少など主に5つの項目によってチェックされます。
最近体重が減っている、運動する量が少ない、歩くのが遅くなったと思っている方は、一度このチェックシートで評価してみるとよいでしょう。
また、一人暮らしである、最近誰とも会話していない、社会の役にたっていないなどの項目が当てはまる場合、社会的フレイルの一歩手前と考えられます。
このように、ロコモやフレイルは特別な機器を用いることなく、誰でも簡便にセルフチェックを行うことができます

●サルコペニアの診断は医療機関での検査が必要

ロコモやフレイルはその原因がさまざまであり、日常生活上の問題や動作の制限など、ある程度包括的に捉える必要があります。
しかし、サルコペニアは筋肉量の減少と定義が限定されており、筋肉量の減少を数値的に証明する必要があります。
サルコペニアの診断には、ヨーロッパのワーキンググループ(EWGSOP)の診断基準が用いられることが多く、この基準は歩行速度、握力、筋肉量の3種からなります
ここでは診断基準の詳細は割愛しますが、簡単な流れを以下にご紹介します。

◯歩行速度に問題がない場合

次に握力を測定して、基準値を満たす場合はサルコペニアと診断されませんが、満たさない場合は後述する筋肉量の検査を実施します。

◯歩行速度が遅い場合

体の筋肉量をCT検査や体成分分析検査(体に微小電流を流して筋肉や脂肪の割合をみます)で測定し、基準値に満たない場合はサルコペニアと診断されます。

つまり、サルコペニアの診断には医療機関での専門家による検査が必要であり、自己診断をするのは難しいといえます。

体や心を健康に保つためには筋肉、栄養、社会交流が大事

ここまで、ロコモやサルコペニア、フレイルなどそれぞれの違いについて解説しました。
最後に、健康な生活を続けるためにはどうすればよいかについてご紹介します。

●まずは筋肉!バランスのよい食事と適度な運動が大事

身体的なフレイルやサルコペニアに共通する部分としては、筋肉量の低下が挙げられます。
また、筋力低下は関節の機能障害やバランス能力低下にもつながるため、ロコモ予防の観点からも重要になります。
しかし、実際に運動を始めようと思っても、具体的に何をすればいいか分からないと悩む方も多いでしょう。
運動に対して意欲的な方は、スポーツジムに通ったりウォーキングを始めたりします。
「近所を歩くだけで精一杯」という方の場合は、自宅周りを散歩したり、地域の公民館で開催されている「◯◯体操」などに参加してもいいでしょう。
「◯◯トレーニングをしなければいけない」というのではなく、自分の生活に合った運動方法で、長く続けていけるようなメニューを考えることが大切です
また、加齢とともに筋肉(タンパク質)を合成する能力が低下してくるため、食事のバランスにも気をつける必要があります。
魚や肉などをはじめ、大豆製品などタンパク質を多く含む食事を心がけることが大切ですが、塩分量が多くならないなど注意が必要です
もし、自身で調理ができない場合は、宅配サービスなどを利用するのもひとつの手です。

●引きこもりにならない!趣味や役割を見つけることが大事

ここまでは食事や運動など、個人として気をつける点を述べてきましたが、外出や趣味などを通じて他者と交流することが重要です。
もともと趣味が多い方や、外へ出るのが好きな方は問題ありませんが、仕事一筋で頑張ってきた方、あまり人付き合いが好きでない方の場合は要注意です。
特に一人暮らしの場合、会話や感情の起伏が少なくなることで認知機能の低下につながること、社会における自分の役割を見出せなくなることなどが考えられます
生活意欲の低下は活動量の減少にもつながるため(精神的フレイルから身体的フレイル)、もともと元気な方でも徐々に体力が衰えてくる可能性があります。
そのため、まずは今までしたくてもできなかったことや、最近気になっていることなどを探してみるのがいいかもしれません。
市役所や地域の公民館では、定期的に活動しているボランティア団体や、習い事などの紹介をしていることもあり、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

元気の秘訣はよく食べ、よく動き、よく笑う!

元気の秘訣はよく食べ、よく動き、よく笑う!

身体的なフレイル、サルコペニア、ロコモなどメディアでよく目にするワードは、主に加齢による筋肉量の低下や、バランスなどの身体機能低下に起因するものです。
また、会話が少ない、誰とも会わないなどの生活スタイルでは、脳の活動も少なくなるため、結果的に身体機能も低下してしまいます。
これらを予防するためには、バランスのよい食事や適度な運動を継続することに加え、自分が楽しいと思える毎日を送れるかが重要です。
公民館での囲碁でもよし、ボランティアや料理教室でもよし、まずは自分の胸が躍ることを見つけて、毎日笑って過ごせることが健康の秘訣かもしれません。

関連記事:
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高齢者のサルコペニアを予防するには、なにより食事と運動が重要!ぜひ試したい、その対策方法とは?

参考:
公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット.(2020年1月28日引用)
ロコモONLINE.(2020年1月28日引用)

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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