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  • 桑原

    公開日: 2020年07月28日
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体操・ストレッチ 生活習慣病

コレステロール値を下げるのに重要なのは有酸素運動。運動療法の詳細を解説します!

生活習慣病にも大きな影響を与える中性脂肪・LDLコレステロール・HDLコレステロールの異常は脂質異常症といわれ、中性脂肪・LDLコレステロールの高値はその大部分に見られる徴候です。
これらのコレステロール値を下げる運動療法とは何か、また注意点などについて解説することにしましょう。

コレステロール値を下げる運動療法とは

コレステロールの異常はどのように診断されるのか?コレステロールを下げるためにすべきこと

コレステロールの異常はどのように診断されるのか?コレステロールを下げるためにすべきこと

コレステロール値の上昇は脂質異常症の診断基準でもあり、生活習慣病などにも関係するため知っておくと良いでしょう。
また運動療法のほかにコレステロールを下げるに当たって重要なものについても解説します。

●コレステロールは悪玉(LDL)コレステロールだけじゃない!中性脂肪などにも注目しよう

生活習慣病の一つである脂質異常症は過去に高脂血症などと呼ばれ、血液中のLDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪が高値になるとコレステロールが高いと診断されます。
また総コレステロールからHDLコレステロール(善玉)を引いた値(non-HDLコレステロール)が高い場合でも、脂質異常症と診断されます。

脂質異常症の診断基準

  • LDLコレステロール
  • 140mg/dl 以上(120~139を境界域と呼ぶ)
  • HDLコレステロール
  • 40mg/dl未満
  • 中性脂肪
  • 150mg/dl 以上
  • non-HDLコレステロール
  • 170mg/dl以上(150~169を境界域と呼ぶ)

●コレステロールを下げる方法は運動以外に食事や薬なども効果的。うまく組み合わせて無理なく下げよう

コレステロールを下げる方法は、運動療法、食事療法、薬物療法、それに加えて禁煙という4つの生活習慣の是正が重要です。
コレステロール値の異常は、全身の血管の動脈硬化を助長し、脳梗塞、心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患を引き起こします。
運動療法だけでのコレステロール値の低下が難しい場合には、かかりつけ医ともよく相談して、栄養指導や薬の服用なども検討すると良いでしょう。

コレステロールを下げるための運動療法には有酸素運動がオススメ

コレステロールを下げるための運動療法には有酸素運動がオススメ

運動療法はさまざまな運動形態がありますが、コレステロールを下げるためにはどのような運動療法を選べば良いのでしょうか。

●コレステロールを下げるのに重要なのは、継続的な有酸素運動

有酸素運動は血中のHDLコレステロールを増加させる働きがあるといわれています。
HDLコレステロールの増加により、non-HDLコレステロールの値が低くなり、脂質異常症の改善が見込めます。
ただし1回の運動では効果を見られることはなく、少なくとも数カ月間は継続的な有酸素運動を行う必要があるといわれています。
1週間に120分以上の運動もしくは消費カロリーが900kcal以上となることが必要です。
具体的には週に3回以上、1回当たり30分以上の運動(何度かに分けても可能)は必要だといわれています。

●中等度以上の運動が効果的。しかし循環器疾患を有する場合には注意を

有酸素運動の種類に関しては、ウォーキング、サイクリング、ジョギング、水泳などご自分にあった運動で構いませんが、通常の歩行速度以上の運動強度が推奨されます。
脂質異常症の方の場合は、ほかの生活習慣病でもある動脈硬化など循環器疾患の既往を持っている方もいます。
循環器疾患をお持ちの方は、息切れやご自身の運動の閾値を超えたものにならないように、運動強度に注意を払う必要があります。
循環器疾患のない健康な方の場合には、有酸素運動の代わりに筋トレも運動の一つとして行っても同様のコレステロールを下げる効果を期待できるといわれています。
関連記事:有酸素運動がもたらす効果は痩せるだけじゃない!より効率的な運動をして、さまざまな良い効果を引き出そう!

ご家庭でできるコレステロールを下げる運動療法と注意点

ご家庭でできるコレステロールを下げる運動療法と注意点

ご家庭でもできる運動療法についてご紹介するとともに、運動を始めるときの注意点についても解説します。

●コレステロールを下げる運動療法を始めてみよう。始めやすい運動は歩くこと。水泳やサイクリング、体操も効果的

コレステロールを下げるために、汗ばむ程度の速さで歩く、階段を上り下りする、軽いジョギングなどから始めてみましょう。
また通勤時間を利用して、エレベーターやエスカレーターではなく階段を利用する、一駅手前から歩く、車の利用を控えるなどちょっとした工夫でコレステロール値を下げることができるとともに運動習慣をつけることも可能です。
ほかにも、水泳やサイクリングなどの有酸素運動や室内でのラジオ体操やストレッチを日々の運動に加えてみるのもいいでしょう。
関連記事:【糖尿病】自宅でできる運動習慣「ラジオ体操」や「ウォーキング」も効果あり!

●運動を始めるときには脈拍や血圧などの体調のチェックを行うようにしよう。運動の初めはゆっくりと始め、運動中も脈拍などを指標に

先ほども話したように、脂質異常症は生活習慣病の一つであり、多くの方は高血圧や糖尿病などほかの生活習慣病を合併していたり、循環器疾患や加齢に伴う骨関節疾患の既往を持ち合わせています。
運動を始める前には体調のチェック、脈拍・血圧を測定してご自分の体調を確認しましょう。
またきついと感じるような運動ではなく少し汗ばむ程度の運動から始めましょう。
運動療法中に脈拍のチェックなどを行うことで、負荷の程度を知ることができます。
脈拍は、138-(自分の年齢÷2)を上限目標として行うようにしましょう。

コレステロールを下げる運動療法はゆっくり軽い運動から始め、継続して行うことで効果が期待できる!

コレステロール値を下げるためには、継続的な運動療法、1日30分以上週3回を目標に行うことでコレステロール値の改善、肥満や生活習慣病の是正が期待できます。
ほかの生活習慣病や循環器疾患を持ち合わせている場合はゆっくりと始め、運動療法中も脈拍・自覚症状に注意して運動をすすめましょう。

参考:
厚生労働省 e-ヘルスネット 脂質異常症を改善するための運動(2020年7月24日引用)
SHIONOGI 病気の知識 脂質異常症と動脈硬化-なるほど、なっとく 高コレステロール血症(2020年7月24日引用)
Steven Mann ,Christopher Beedie et al.:Differential Effects of Aerobic Exercise, Resistance Training and Combined Exercise Modalities on Cholesterol and the Lipid Profile: Review, Synthesis and Recommendations.Sports Med Vol 44:211-221,2014.(2020年7月24日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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