膝の痛みにはお風呂での運動がおすすめ!DVD を見て簡単にできる「ひざエクササイズ」を紹介
膝の痛みに悩んでいる方は多くいらっしゃると思いますが、どのような運動をされていますか?
膝は体の体重がかかりやすく、痛みのせいで運動が思うように進まないということも少なくありません。
そこでおすすめなのが膝への負担がかからない「お風呂での運動」です。
今回はDVDを見れば簡単にできる膝の運動「ひざエクササイズ」について紹介します。
目次
誰でも簡単にできる!お風呂でできる「ひざエクササイズ」の方法
「ひざエクササイズ」は吉備国際大学教授の河村顕治先生が考案・監修された、浴槽の中に入って座ることができれば、誰でも簡単にできる運動です。
まずはエクササイズの手順と方法を解説します。
- 1.浴槽の後ろ側の壁に背中をつけて座る
※浴槽が広い場合は少しお尻を前にずらして、浴槽が狭い場合は対角線上に座りましょう。 - 2.両足を浴槽の前の壁にしっかりつける
※両足を壁につける高さは浴槽の底から「こぶし1つ分」の上にしましょう。 - 3.両足で浴槽の前の壁を押すように、5秒間かけて膝を伸ばす
※足裏全体で押すように意識して、かかとだけで押さないようにしましょう。 - 4.5秒かけてゆっくり脚の力を抜いて伸ばしていた膝を元に戻す
以上のようにエクササイズはたった1種類でとても簡単です。
なぜこの運動が膝の痛みにおすすめなのでしょうか気になるところです。
そこで、期待できる効果について次の項目で解説します。
なぜお風呂がいいの?「ひざエクササイズ」の効果と注意点
お風呂でできる「ひざエクササイズ」は運動による効果、お風呂でやることによるメリットの両方が期待できる運動です。
効果とともに注意点を解説しますので、しっかり理解して実施しましょう。
●「ひざエクササイズ」のメリット
まずはエクササイズで期待できる効果について解説します。
○膝の筋力を鍛え安定させる
膝の痛みを減らすためには、膝の関節を安定させ、関節にかかる負担を軽くする必要があります。
そのため、膝の動きに関わる筋肉を鍛えて筋力をアップさせることが大切です。
太ももの前には膝を伸ばすときに働く「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」、太ももの裏には膝を曲げるときに働く「ハムストリングス」と呼ばれる筋肉があります。
「ひざエクササイズ」で足を踏ん張る力を入れることで、この膝の動きに関わる両方の筋肉を鍛えることができるため、立ち上がりなどの動作で膝の関節を安定させることができ、膝の負担を減らすことができます。
○関節に刺激を与えて新陳代謝を活性化させる
膝の関節の中には関節液(かんせつえき)と呼ばれる液体があり、骨の表面を覆っている関節軟骨(かんせつなんこつ)に酸素や栄養を与えています。
また、関節軟骨から老廃物が排出されることで、関節軟骨の新陳代謝が起こり、健康的な軟骨の状態が保たれます。
膝の痛みの原因となる変形性膝関節症ではこの関節軟骨のすり減りが見られるため、関節軟骨を守るために新陳代謝を促すことは大切です。
「ひざエクササイズ」では力を入れるときに老廃物の排泄を促し、力を抜いたときに関節液を循環させて関節軟骨に栄養や酸素を与えるため、関節の軟骨の新陳代謝を活性化させることができます。
●お風呂でエクササイズをする3つメリット
お風呂で運動をすることは以下の3つのメリットが挙げられます。
1.お風呂の熱で新陳代謝アップ
お湯につかって体を温めるため、新陳代謝を高めながら運動に取り組むことができます。
2.水の浮力で負担を軽減
水の中は浮力があるため、関節の負担を減らしながら運動ができます。
3.習慣化しやすい
入浴は誰でも定期的に行う行動ですので、運動を習慣化しやすくなります。
これについては後ほど詳しく解説します。
●「ひざエクササイズ」の注意点
入浴時に運動をする上で以下の5つに注意しましょう。
1.水分補給を忘れずに
入浴時には体の温度も上がり、汗をかきやすいのに加えて、湿気で喉の渇きを感じにくいため脱水症状には注意が必要です。
そのため、必ず水分補給をこまめに行うようにしましょう。
2.お湯の温度はぬるめで浴室は暖めておく
エクササイズをする場合、熱いお湯と寒い浴室ですと、浴槽の出入りにともなう急激な温度変化で血圧が急変する「ヒートショック」のリスクが高くなります。
そのため、お湯の温度はぬるめで、浴室はできるだけ暖かくしておきましょう。
3.エクササイズは体を温めてから
エクササイズはお風呂に入って少し体を温めてから実施するようにしましょう。
4.浴槽の縁を持って体を安定させる
水の中は浮力があるため、体が不安定になりやすいです。
浴槽の縁を持って体を安定させるようにしましょう。
5.痛みや違和感が強い場合は医療機関の受診を
膝の痛みや違和感が強い場合は無理にエクササイズをすると痛みを強める恐れがあります。
無理をせず近くの整形外科に受診をして治療しましょう。
「ひざエクササイズ」の効果を高める5つのポイントを解説
せっかく運動を行うのであれば、できるだけ効果がでるようにしたいものです。
そこでエクササイズの効果を高めるポイントを紹介します。
どのようなエクササイズでも共通していえる内容ですので参考にしてみてください。
●正しい方法で行う
どのようなエクササイズでも正しい方法で行わなければ、効果が減少したり、けがのリスクを高めたりする可能性があります。
「ひざエクササイズ」でも最初にご紹介した方法や動画で解説されている注意点をしっかり気をつけながら行うことが大切です。
入浴中の注意点もしっかり理解して実践しましょう。
●鍛えている筋肉を意識する
エクササイズで自分がどこの筋肉を鍛えているのかを意識して行うことで、効率よく鍛えることができます。
「ひざエクササイズ」では、膝を伸ばすときには膝の前の大腿四頭筋、曲げるときに膝の後ろのハムストリングスが働きやすくなります。
それぞれの動きをする場合に、しっかり力が入っているか意識するようにしましょう。
●継続して運動する
どんな運動にせよ1日では効果がでませんので、運動を一定期間継続する必要があります。
そのため、「ひざエクササイズ」もできるだけ継続するようにしましょう。
筆者が普段運動を指導するなかでなかなか運動を継続できない理由が大きく分けて3つあります。
以下の表で三日坊主になりがちな運動と「ひざエクササイズ」の特徴を比較してみます。
三日坊主になりがちな運動 | ひざエクササイズ | |
---|---|---|
運動の特徴 | ・運動種目が多すぎる ・運動の内容が難しい ・運動する時間がつくれない |
・運動種目は1つ ・運動内容はとても簡単 ・入浴のついでにできる |
ご覧のように、「ひざエクササイズ」は、上記のような運動を続けられない原因を解消し、誰でも気軽に継続しやすい工夫がされています。
●目標を決める
「ひざエクササイズ」の目的としては、「膝の痛みを軽くする」ということが挙げられます。
しかし、単に膝の痛みが減るという目標だけでなく、より具体的な生活の目標を設定することで、運動に対するモチベーションが上がり運動を継続しやすくなります。
ダイエットで「〇〇kg減らす」より、「昔着ていた服が着られるようになる」、「生活習慣病を予防する」というように、体重が減った先の目標を設定することが多いのと一緒です。
運動でも同様で、膝の痛みが減った結果、「旅行に行けるようになる」、「孫の家まで歩いていく」など先の目標を設定するようにしましょう。
●人と続ける
運動を一人で行っていてもなかなか継続できないですが、仲間と楽しくすると続けられるといった経験をした方も多いのではないでしょうか。
今回のような一人でする運動でも、友人に紹介して一緒に行ったり、家族に伝えて効果を認めてもらったりすることで、運動を継続しやすくなります。
自宅でも簡単にできる運動を継続して膝の痛みを緩和しよう
自宅で運動をする大切さは誰もが感じていても、なかなか継続できないという悩みは少なくありません。
今回ご紹介したエクササイズは継続できる工夫がたくさん盛り込まれています。
膝の痛みを軽くしたいと思っている方はもちろん、膝の痛みがない方も痛みの予防のために簡単にできる「ひざエクササイズ」を行ってみてはいかがでしょうか。
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執筆者
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整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級