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災害医療のスペシャリスト!現役のDMAT隊員へのインタビュー(日常編)

国内で震災や水害などの災害が発生した場合、自衛隊や行政の救助活動だけではなく、DMATと呼ばれる医療専門職からなるチームが出動することがあります。
まだ一般になじみのないDMATですが、今回はなんと現役のDMAT隊員からお話を聞くことができましたので、その内容をご紹介します。
インタビュー内容は日常編、出動編の2部構成となっていますので、この機会にぜひDMATの活動について知っていただければと思います。

DMATとは?実際に活躍している隊員にインタビュー

DMAT隊員の紹介

今回インタビューさせていただくのは、近畿圏内の災害拠点病院に勤務されている理学療法士のAさんです。
業務の都合上、本名は明かせないのでその点はご了承ください。
Aさんは理学療法士としての臨床業務をはじめ、DMAT隊員として日々の訓練もこなし、実際に災害時の出動経験もある方です。

筆者:それでは早速インタビューを行いたいと思います。
本日はよろしくお願いします。

Aさん:よろしくお願いします。

質問1 DMATとはどういうチームですか?

質問1 DMATとはどういうチームですか?

筆者:DMATは一般的にはあまり知られていないと思うのですが、DMATについてわかりやすく説明していただけますでしょうか?

Aさん:はい、DMATは簡単に説明すると災害が起こったときに現場にかけつける医療チームです。
ただ、災害現場で救助などを行うのではなく、その地域の中心となる病院をサポートすることが多いですね。

筆者:実際に医療行為も行うのでしょうか?

Aさん:チームメンバーは医師や看護師、事務員などから構成されており、医師や看護師は診療業務を補助することはあります。
しかし、事務員やロジスティックに特化したチームは、情報収集や医療資源の確保などの業務を担当しています。

筆者:なるほど。その病院でスムーズに医療が行えるよう、さまざまな角度から支援をされているわけですね。

質問2 DMAT隊員になったきっかけは?

筆者:誰でもDMAT隊員になれるわけではないと思うのですが、Aさんが隊員になろうと思ったきっかけについて教えていただけますか?

Aさん:私は自分で隊員に立候補したわけではなくて、上司から勧められたことが理由ですね。
正直、隊員になるまではDMATのことはほとんど知りませんでした。

筆者:そうなんですか!てっきり災害医療に興味があったのだと思いましたが。

Aさん:もちろん、そのような熱い思いを持ってDMAT隊員になる方もいますね。
ただ、チームを拡張する場合や、前任者が任期を終えて交代になるタイミングなどもありますので、いつでも入隊できるというわけではありません。

質問3 病院内ではどのような活動をしていますか?

質問3 病院内ではどのような活動をしていますか?

筆者:DMATは災害時に備えてさまざまな訓練を行っていると聞きました。
具体的にはどのような訓練をされていますか?

Aさん:病院内では、年に一度実際の災害を想定してシミュレーション形式で院内災害訓練を行っています。
また、訓練全体を10項目弱に分けて院内スタッフ向けに事前に講義を行ったりしています。

筆者:訓練内容は事前に決まっているのですか?

Aさん:いえ、シチュエーションをどうするかなど、毎回少しずつ変えるようにしています。
正直、訓練当日よりこっちの準備に時間がかかりますね。
業務時間内には行えないので、業務後にチームで集まって、ああでもないこうでもないと検討しています。

筆者:なんと、裏でそんな努力をされていたんですね。

質問4 消防などと一緒に訓練すると聞いたのですが?

筆者:DMATは行政や消防の方と合同訓練を行うこともあると聞いたのですが、どのくらいの頻度でどのような訓練を行うのですか?

Aさん:毎年必ず実施しているわけではないのですが、合同訓練はありますね。
震災などを想定した大規模訓練もありますが、対テロを想定した訓練などもありますよ。

筆者:対テロリストですか?それは、医療というよりかは、かなり危険な訓練になるのでは?

Aさん:いえ、テロリスト自体が対象ではなくて、化学兵器など有害物質が使用された場合、防護服の着用やゾーニングと呼ばれる区分けなどを行う訓練です。
感染者の方をしっかり隔離しておかないと、感染拡大につながってしまうので。

筆者:それは新型コロナウイルスに感染した患者さんでもいえることですね。

Aさん:そうですね、感染拡大を防ぎ、必要な医療が提供できる環境を整えるのも重要な役割だと思います。

質問5 DMAT隊員になってよかったことは?

筆者:DMATの活動とは少し離れますが、DMAT隊員になってよかった、またはやりがいがあると思うことはありますか?

Aさん:先ほどお話した通り、DMAT隊員になる前はその活動内容さえもほとんど知らない状態でした。
ただ、DMAT隊員になる前からテレビ画面に映る被災地を見て、何かできることはないかなと考えることはありました。
DMAT隊員となり、このような形で関われるようになったのは嬉しいことですし、普段とは全く違う業務内容なのでとても刺激になります。
また、災害時に医療現場がどのような状況に置かれるかを知ることで、普段から注意すること、準備するものなど、リスク管理に対しての意識は高まりました。

筆者:なるほど。
理学療法士の業務とはおおきく離れていますが、普段の臨床に生かせることもあるということでしょうか?

Aさん:理学療法士の仕事に生かせることは正直思いつきませんが、病院スタッフとして院内で異常が起こったときにいち早く行動を起こすように心がけています。
実際、病院で停電が起こったときはDMATが動きました。

質問6 DMAT隊員になってつらかったことは?

筆者:では逆に、DMAT隊員になってつらかったことや苦労した経験などがあれば教えてください。

Aさん:まず、災害医療の基本がわからない状態からスタートだったので、養成研修などで理解を深めるのに苦労しましたね。
あと、実際に出動したときには、「ここで自分たちは何をしたらいいんだろう」と不安になることもありました。

筆者:Aさんは被災地に出動した経験があるんですよね。
そのときの様子はまた後ほどお聞きしますが、やっぱり精神的にもつらいものがありますか?

Aさん:もちろんあります。
実際に凄惨な状況を目の当たりにして恐怖を感じることもありますが、そこで突っ立ってるわけにはいかないので、気持ちをしっかりと持つことで頑張っています。

質問7 DMAT隊員になって変わったことは?

質問7 DMAT隊員になって変わったことは?

筆者:Aさんにとって、DMAT隊員になってから何か変わったことはありますか?考え方やものの見方などなんでも結構です。

Aさん:先ほどもお話した通り、普段から災害時を想定してのリスク管理ができるようになりましたね。
DMATの活動とは直接関係ありませんが、たとえば設置されている消火設備の位置を意識するようになったり、歩いているときに災害発生時の避難ルートを考えてみたりとか。

筆者:災害医療のプロフェッショナルの考え方になってきたということですね。

Aさん:どうでしょうかね。
ただ、普段から災害時に取るべき行動を考えていないと、実際の場面で的確な判断をすることはできませんから。
頭の中でいろいろなことを想定していると疲れてくるので、24時間感覚を研ぎ澄ましているわけではありませんが。

質問8 DMAT隊員にとって大切なことは?

筆者:Aさんにとって、DMAT隊員として大切なことはなんだと思いますか?

Aさん:災害に対する知識や機器の使用方法などはもちろんですが、その限られた状況で何をするか、優先順位をどうつけるかなど、状況判断能力だと思います。
実際の災害現場では、ゆっくり考えている時間は取れませんので、その時々で最適な行動が求められます。
特に、混乱した医療現場の中で冷静さを失わないことなども大切ですね。

筆者:なるほど、DMAT隊員にはクールさが求められるのですね。

Aさん:全員がそうとも言い切れませんが、私たちロジスティックは情報や医療資源を正確に把握することが求められます。
現地のスタッフは肉体的、精神的に余裕がない状況で戦っているので、私たちは冷静な判断をしてサポートしなければなりません。

筆者:ありがとうございます、非常に参考になりました。

今回の第1部では、現役DMAT隊員のAさんから、DMATの基本的な部分や隊員としての考え方についてお話を伺いました。
第2部では、具体的な訓練内容や出動時の状況などについてお話をしていただこうと思います。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。

    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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