リハビリテーションとは?その内容と役割について
「リハビリ」という言葉を、一度は聞いたことがあるでしょう。
筋力をつける運動をしたり、動きを良くしたりするというイメージの方が多いと思います。では、正式な名称はご存知ですか?
リハビリはre(再び)、habilis(適した、ふさわしい)という言葉
正しくは、「リハビリテーション(rehabilitation)」と言います。この言葉は、re(再び)、habilis(適した、ふさわしい)という言葉から成り立っています。
つまり、ケガや病気などで障害を抱えてしまった方が、再びその人らしい日常生活を取り戻し、豊かな人生を送ることができるようにしていくことをリハビリテーションと言います。
障害の種類や程度は、人それぞれ異なります。たとえば、脳卒中を患い、片手が不自由になってしまった方、生まれつきの病気で言葉が出にくく、耳も聞こえにくい方、バスケット中に足首を捻挫してしまった学生など、多岐にわたります。
リハビリテーションを行う人をセラピスト(治療者)といい、それぞれの障害に対するスペシャリストとして、専門性をもって治療にあたります。
理学療法士の役割とリハビリ
理学療法士は運動療法と物理療法という2つの治療法を用いてリハビリを行う資格です。
運動療法は運動によって身体機能を回復する治療法で、関節の可動域を改善する運動や、筋力トレーニング、歩行練習などがあります。
物理療法はホットパックや超音波装置、低周波装置などのリハビリ機器を使用し、体に物理エネルギーを与えることで症状の改善を図る治療法です。血流の改善や、筋の緊張・痛みを軽減する効果が期待できます。
理学療法士は骨折患者や脳卒中の後遺症がある患者を担当することが多く、立ったり座ったりといった基本動作や歩行能力の回復を目指したリハビリを行います。
運動に精通していることからスポーツトレーナーとして活躍している人も多いです。
先程の例でいくと、足首の捻挫などのいわゆるケガに対しては、理学療法士がリハビリテーションを担当します。ケガをすると、治るまで競技に出られなくなってしまいます。
その期間を短くするために、ケガをした箇所のトレーニングや、その他の筋力トレーニングを行っていくことに長けています。
また、一般の四十肩や膝痛など、幅広い疾患に対応することができるのも特徴です。
作業療法士の役割とリハビリ
作業療法士は手芸や工作などの作業を用いたリハビリを提供し、患者の日常生活動作や巧緻動作の改善を行う資格です。
具体的には食事や排泄、入浴を行う動作や、筋肉の協調性や細かな力加減が必要となるような巧緻動作の練習などを行います。
理学療法士との大きな違いは、作業療法士は身体機能の改善だけでなく精神面へのアプローチも行うと言うことです。
精神科病院では統合失調症や認知症がある患者に対して精神症状を抑えるアプローチや、社会生活に必要な能力を学ぶ生活技能訓練などを行います。
脳卒中を患い、片手が不自由になってしまった方は、作業療法士がリハビリテーションを担当します。
手を自分の意志で動かすための訓練や、お箸で豆を掴み、お皿に移すなどの細かい作業を指導することに長けています。
言語聴覚療法士の役割とリハビリ
言語聴覚士は言語障害や聴覚障害、嚥下障害がある人に対してリハビリを行います。
脳卒中の後遺症によって失語症や嚥下障害を呈した患者や、口腔内のガン手術を行った患者、寝たきりで食事機能が低下した患者などが主な治療対象となります。
言語障害に対しては口の動きを良くする運動を行ったり、カードを使用して言葉を引き出すアプローチなどを行います。食事では肺に食事が入ってしまう誤嚥が起きないよう、食事中の姿勢や食べ方などについて指導を行います。
読書や言葉探しゲームなどを通して、主に脳に働きかけ、音や言葉が上手に聞き取る、言葉を発することができるようにしていくことに長けています。
「明日」のためのリハビリテーション
こうしたセラピストは、病院やクリニックなどの医療機関をはじめ、デイサービス、ご自宅でも介護保険を利用することで、リハビリテーションを提供しています。
誰でも気軽に受けることができるという訳ではなく、医師の指示がなければリハビリテーションを受けることができません。
医師や看護師、ヘルパーなど、多くの医療従事者と連携をとりながら、チームでその人らしい生活を再び取り戻す為に、協力して治療を行っていきます。
障害を抱えると、誰しも暗い気持ちになり、ふさぎ込んでしまいます。
今までできていた事ができなくなる、それらの問題を解決するために、親身に寄り添い、明るい未来を目指していく。そんな仕事をしていくのが、セラピストの役割といえます。