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腰痛

腰椎椎間板ヘルニアの手術をすることに…!手術後のリハビリと再発予防の知識を解説

腰椎椎間板ヘルニアは学生の方から中高年の方まで幅広い世代にみられる疾患(しっかん)です。
重症になってくると、腰痛だけでなく下肢にも痛みやしびれが出現し、マヒによる筋力低下もみられるようになり仕事や日常生活にも支障がでてくるため、手術を選択せざるを得ないこともあります。
ここでは、椎間板ヘルニアの術後のリハビリと退院期間、普段から気をつけたい注意点について解説していきます。

ヘルニア手術後の退院はいつ?仕事復帰は?手術方法で違いが!

手術をするにあたって「いつ頃退院できるの?」「仕事はいつから復帰できる?」と疑問に思う方は非常に多いです。
腰椎椎間板ヘルニアの手術はいくつか種類がありますが、ここでは一般的な「LOVE法」と「MED法」を取りあげます。
手術方法によって負担の大きさが違うため、それぞれ退院時期や仕事復帰のメドにも差がでてきます。
これは、決して入院期間が短い手術が良いというわけではなく、重症度や医師の技量、病院の設備や仕事内容などの要因からも変わってくるものなので、どの手術方法を選択するのかは医師と相談して決めることになります。
まずは二つの手術方法についてご紹介します。

●LOVE法

LOVE法は従来から行われている一般的な方法で、5~6cm背中を切開し目視下でヘルニアを確認し摘出する手術になります。
メリットは多くの整形外科医が行える手術で、しっかりと目視できる状態で行うためヘルニアの除去も確実に行うことができます。
デメリットはほかの手術よりも傷口が大きくなってしまうことです。
さらに、ヘルニアを目視するために筋肉を骨からはがす必要があり、術後の痛みや腰回りの筋力低下が起こりやすいです。
LOVE法は通常、術後7~14日での退院となります。
仕事復帰は仕事内容や手術まえの状態にもよりますが1~2カ月が目安とされています。

●MED法(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)

MED法は内視鏡を使用した手術になります。
2センチ程度切開したところから内視鏡を入れていき、ヘルニアの摘出を行います。
メリットは傷口が小さいため体への負担が少なく、入院期間が1週間程度で済むことです。
筋肉をはがすこともないため、比較的術後の痛みも軽いです。
デメリットは、手術者の技術によって差がでやすいことです。
また目視するよりも確認できる視野が狭く、まれにヘルニアが一部残っていることもあります。
仕事復帰はデスクワークなどの軽作業であれば早期に可能になります。
重労働の場合は、しっかりとリハビリを行い筋力を回復させてからの方が好ましいです。

ヘルニア術後のリハビリはどんなことをするの?

術後のリハビリは痛みの状態に応じて、歩行練習や筋力トレーニング、ストレッチなどを行っていき早期退院を目指します。

●術後早期より歩行練習をして早期離床を!

術後は痛みを考慮しながら、早期より歩行練習が開始されます。
できるだけ早く離床(起き上がって動く)を進めることで、術後安静による筋力低下を防止することができます。
筆者が勤務している病院では、術後翌日にはキャスター付きの歩行車を使用して病棟内の移動を行っています。

●マヒで低下した筋力を取り戻そう!

ヘルニアの手術を選択される方は、腰痛だけではなく下肢の筋力低下やしびれなどの神経症状を患っています。
手術をしたことで、圧迫していたヘルニアが切除されるため神経症状は徐々に改善していきますが、少しでも早く筋力を改善することで、歩行能力の回復や仕事復帰の短縮につながるため、筋力トレーニングに励むことが肝要になります。
自力では動かせないほど重度のマヒがある場合には、低周波治療器を使用し、マヒしている筋肉を電気刺激で収縮させて改善を図ります。

●ストレッチで関節可動域の改善を!

ヘルニアの方は足の筋肉が緊張し、関節を曲げられる範囲(可動域)が制限されている方が多いです。
予防については後述しますが、そんな場合は痛みに応じて緊張している筋肉をストレッチしていき、制限されている関節可動域を改善していきます。

●ホットパックなどの物理療法も効果的!

理学療法ガイドラインによれば、ホットパックなどの温熱療法と運動療法を組み合わせて治療をすすめることは効果的である、との報告もあり、物理療法の併用も行われています。

ヘルニアの再発予防!生活上の注意点

手術をして仕事復帰ができても、また無理に体を使い続けているとヘルニアが再発することがあります。
筆者も手術はしていませんが、6年ほど前に椎間板ヘルニアと診断され、自宅での運動を定期的に続けています。

●天然のコルセット!腹筋、背筋を鍛えよう

腹筋、背筋は天然のコルセットと呼ばれており、腰への負担を減らしてくれます。
腰を守るために腹筋、背筋を鍛えることはとても重要です!
次にご紹介する方法で腹筋・背筋を鍛えてみてください。

1)腹筋

仰向けで、両ひざを曲げて立てます。
両手を前方に伸ばし、その手がひざに届くくらいまで上体を起こすようにします。
ポイントは肩甲骨です。
肩甲骨が床から離れた時点で腹筋は収縮しています。
体を起こすのがつらい方は、肩甲骨を離すことを意識してやってみてください!

2)背筋

四つばいの状態で、右手と左足、左手と右足のように、反対側の手足を伸ばします。
この運動を続けることによって背筋が鍛えられます。
体を反らすことに恐怖感や痛みがある方でも、無理なくできるトレーニング方法です。

●腰の負担を減らすには股関節の柔軟性が重要!

股関節と腰の骨は隣接しており、連動して動く仕組みになっています。
たとえば前屈をするときは体を前に倒していくわけですが、股関節の柔軟性が低下していると、そのぶん腰椎が補うようにして体を曲げようとします。
そうすると腰椎への負担が増え腰痛へとつながってしまうのです。
股関節の柔軟性はとても重要になりますが、筆者が特に意識しているのはハムストリングスと呼ばれる太もも後面にある筋肉のストレッチです。
経験上、腰に何かしらの問題をかかえている方は、このハムストリングスが硬くなっている方が多いと感じています。
筆者もヘルニアの症状が強かった時期はガチガチになっていたので、ストレッチは今でも毎日欠かさず行っています。

●過度な負担をかけないために生活で注意するポイント!

いつ、どこで、どんな体勢が負担になるのか、日々の生活のなかに隠れる原因とその対策についてご紹介します。

1)長時間同じ姿勢で座らない

車の運転やデスクワークなど、長い時間同じ姿勢で座ることは、想像以上に腰に負担がかかります。
適度に休憩を取り、合間に背伸びやストレッチなどを行って腰部の緊張をほぐすように意識しましょう。

2)椅子に座るときは深く腰掛ける!

椅子に浅く腰をかけて背もたれを利用すると、姿勢が悪くなり腰に大きな負担がかかります。
座るときは深く腰掛けるようにして、姿勢を正すようにしましょう。

3)物を運ぶときの注意点

物を持ちあげるときは、しっかりと腰を落とし、しゃがみ込むようにしましょう。
中腰のまま持ちあげたり、腰を捻るような動きをすると負担が大きくなります。
また、物を抱えるときは体の近い所で持つこともポイントです。

4)太りすぎは要注意!

体重が増加すると姿勢が悪くなる傾向があり、腰にかかる負担も増えてしまいます。
筆者も体重が増加したときは、下肢のしびれや痛みがでやすい傾向があります。
自分の適正体重を大幅に超えないように注意しましょう。

まとめ

ヘルニアの手術後は比較的早く復帰することも可能です。
しかし、術後にまた無理をする生活を続けてしまうと、再発する怖れがあります。
手術した方は改善した状態を維持し、手術をしていない方は少しでも症状を軽減させることが大事です。
そして、日頃の生活習慣に気をつけることや、定期的な運動が大切なことは、筆者は身をもって実感しています。
手術をされた方はもちろん、手術をされていない方も、まずはストレッチなどのヘルニア対策を、できる範囲から始めてみてはいかがでしょうが?

参考:
日本脊髄外科学会 腰椎椎間板ヘルニア(2018年2月8日引用)
伊藤俊一,他:シリーズ「エビデンスに基づく理学療法ー理学療法診療ガイドラインを読み解くー」 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン.理学療法学第42巻6号:530~535.2015

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